J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

業務スーパー発の焼肉店、コロナ禍でも絶好調 「今は逆にチャンス」仕掛け人は語る

   新型コロナウイルスの感染拡大で飲食業界が苦境の中、焼き肉食べ放題「プレミアムカルビ」が出店攻勢をかけている。

   独自の戦略で好業績をたたき出し、全国展開を虎視眈々と狙う。運営するのは、食料品店「業務スーパー」で知られる神戸物産。新たな収益の柱と位置づける。

  • プレミアムカルビ公式サイト
    プレミアムカルビ公式サイト
  • プレミアムカルビ公式サイト
  • デザート&ジェラートビュッフェ

目玉は「デザート&ジェラートビュッフェ」

   プレミアムカルビは18年12月に1号店(宮前平店、神奈川県川崎市)がオープンした。現在は関東郊外のロードサイドに6店舗を構え、うち4店はコロナ禍の20年11月~翌年4月に出店した。

   知名度は決して高くない。広告宣伝費もほとんどかけていないというが、休業・時短要請に応じながら売上は右肩上がりで黒字を維持する。年内に中途社員50人を採用し、23年末までに40店に拡大、最終的には全国に100店を目指す。

「普通の焼肉屋だと思って入店していただくと、すぐ目の前にある本格的なデザートがドーンと目に入り、驚きとワクワクを感じていただけます」

   事業の企画段階から携わる神戸物産焼肉事業部の梅岡義央さんは、店の魅力をこう話す。

   「食の総合商社」を標榜する同社は、焼き肉食べ放題市場の成長を背景に参入を決めた。業務スーパーの物流網を活用できるなど強みを生かせる業態でもあった。

神戸物産決算資料より
神戸物産決算資料より

   ブランド名になっている「カルビ」を看板商品に、66品3278円(税込)、105品3938円(同)の100分食べ放題メニューを揃える。

メニュー構成
メニュー構成

   もう一つの目玉が、食べ放題に付く「デザート&ジェラートビュッフェ」だ。

店内でパティシエが手作り

   スイーツは、専属のパティシエが店内で手作りして提供する。梅岡さんは「できたての美味しいスイーツを好きなだけ召し上がっていただけます。見た目も華やかで、季節感が出せるのもメリットの一つです」と話す。

デザート&ジェラートビュッフェ
デザート&ジェラートビュッフェ

   ラインアップは定期的に変わり、中でもジェラートは月に2、3品が入れ替わる。「ジェラートは専門店と材料や製法が同じのため、できたてを召し上がって驚かれるお客様は少なくないです」。

   デザートは特に女性客に人気で、他社との差別化につながった。焼き肉店の"弱点"のカバーにもなった。

「焼き肉店のメインは客単価的にディナーとなり、昼は集客しづらいといわれています。ですが、当社ではデザートに力を入れたおかげで昼の集客が上手くいきました」

   コロナ禍でも好調の要因は、主に2つあるという。

「焼き肉業界全体にいえますが、無煙ロースターの存在が大きいです。当社ですと2分15秒で店の空気が一巡するほど換気能力があり、お客様も、一般の飲食店と比べて換気が良いことをご存じで来店されているのかと思います。もう一つは、焼き肉は家でしづらい点です。庭でバーベキューはできますが、ハラミを食べて、ロースを食べて、シメは冷麺...と店のように多くの品揃えをすることは難しいのではないかと思います」

コロナ禍で優良物件続々

   コロナ禍ならではの事業機会もあり、出店ラッシュには次の経営判断があった。

「去年の秋ごろから、他社さんの撤退物件がものすごく増えました。通常であれば取得しづらい案件が出回っており、良い物件を良い条件で借りられました。コロナが多少続いたとしても、去年の実績を考えれば売上も確保できていましたし、極端な時短営業を強いられなければ、十分に採算が取れ、いまは逆に出店のチャンスという判断です」
プレミアムカルビ西鶴間店
プレミアムカルビ西鶴間店

   現在はすべて直営店だが、今後はフランチャイズ展開を視野に出店を増やしていく。

「いまは肉のカットやたれの調合、スイーツ作りと店内調理が多いです。店舗数が増えたら、神戸物産グループの工場を使うなどして効率化を図る予定です。厨房設備が少なくなれば、出店の難易度も下がります。ですが、商品の質を落としたり、お客様に提供するものを変えたりというのはまったく考えていません」(梅岡さん)