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人気のダイキン「ぴちょんくん号」1台廃車に惜しむ声 実は残り5台のみ...保存の予定は?本社に聞く

   車体正面やドアに描かれた顔、ルーフに再現された頭部のとんがり――空調設備大手「ダイキン工業」(大阪市)のキャラクター「ぴちょんくん」を模した車「ぴちょんくん号」が、北陸エリアで廃車になる。

   「悲報」から始まる廃車の決定を伝えたツイートはダイキンの北陸担当が2021年5月24日に投稿したものだ。ツイートは26日13時時点で1万4千件以上リツイートされるなど、大きな注目を集めている。

   目撃情報があればSNS上に写真が投稿されることも多いこのぴちょんくん号。実は全国でもう数台しか稼働していないという。ダイキン本社の広報担当に、ぴちょんくん号をめぐる現状と今後を聞いた。

  • 話題となったツイート
    話題となったツイート
  • 話題となったツイート
  • 北陸で活躍していた「5号」 ダイキン北陸@エアコンのスイッチオン!(@daikin_kanazawa)提供
  • ぴちょんくんとの2ショット ダイキン工業広報提供
  • 現在見ることができるのは元祖「ぴちょんくん号」と「スマーピー」のみ ダイキン工業広報提供
  • 現在はなくなったピンクの車体にルーフのアヒルが特徴的な「おユぴちょんくん号」、アヒルは光るとのこと ダイキン工業広報提供

「思った以上の反響に驚きました」

「【悲報】ぴちょんくん号 廃車 皆さん、今までありがとうございました 私はまだこの現実を受け止められません」

   号泣する絵文字とともにこんなツイートをしたのは「ダイキン北陸@エアコンのスイッチオン!」(@daikin_kanazawa)。ぴちょんくん号の写真も添付しており、投稿は瞬く間に拡散した。

   愛らしい特徴的なビジュアルの同車はネット上でも一部で人気がある。今回の廃車決定にも「それは残念...」「こんな愛されキャラのクルマも無い!」などと惜しむ声が寄せられている。

   反響を受けて同アカウントは、さまざまなシチュエーションで撮られたぴちょんくん号の写真4枚を追加で投稿。「いつ引き取られるか未定ですが、それまでもうしばらく愛でたいと思います」と名残惜しげにつづった。

「社の相棒、看板車でしたから寂しいですし、残念です」

   J-CASTニュースの25日の取材に応じたダイキン北陸のツイッター担当者、いわゆる「中の人」によると、思わぬ反響の大きさに社内は驚いたという。今回、ツイートを投稿するに至った経緯について、

「ぴちょんくん号のことはたびたびツイッター上に載せていましたので、ご報告をしようと思いました。イベントや営業車として活躍してきました。社の相棒、看板車でしたから寂しいですし、残念です」

と話した。廃車の知らせは、突然やってきたという。

「使おうと思い鍵を借りに行った際に知りました。車検切れの上、バッテリーが上がってエンジンがかからないので廃車が決定したと...、知った時にはすでに手続きが進んでいるとのことでした」

   「営業車として活躍してきました」とのことで、それならば社内ではよく利用されていたのかを聞くと、必ずしもそうではなかったようだ。

「外見がやはり目立って見られますので...、恥ずかしくて乗らない人が多いんです。乗る際にも、やはり見られていることを意識して気を張っていなければいけませんから」

   社内では2~3人がよく乗っていたという。ぴちょんくん号の今後については

「(廃車後)個人的には展示をしてほしいと思っていますが...、難しいだろうなと思っています」

と話している。そこで廃車後の予定などについて、本社に取材した。

「ぴちょんくん誕生10周年を記念して作られました」

   ぴちょんくん号はそれほど台数があるわけではない。ダイキン本社の広報担当は25日、J-CASTニュースの電話取材に誕生の経緯について次のように話した。

「『ぴちょんくん号』は、弊社のキャラクター『ぴちょんくん』の誕生10周年を記念し、エコ活動や省エネを呼び掛ける『エコ旅』の全国行脚を行うために2009年に作られました。車体には当時エコを意識した車両、ぴちょんくんの丸みを再現できる車両としてトヨタの『iQ』を利用しました。当初3台のみでしたが、販売会社から貸し出してほしいとの依頼が殺到しましたので、3か月後には4台増やしました。そのうちの2台がピンクの車体の『おユぴちょんくん号』でした。2014年にはメルセデスベンツさんとの縁もあり、共同で紫色の車体の『smarpyくん(以下、スマーピー)』も追加いたしました」

   現在残っているのは「北海道、東北、新潟の3台と量販店などに貸し出している2台があります。内訳については青いぴちょんくん号4台とスマーピー1台になります」と、全5台だという。

   ピンク色の車体の「おユぴちょんくん号」と黄色の車体の「ソーラーぴちょんくん号」については2017年ごろまでに廃車もしくは青い「ぴちょんくん号」に塗り替えとなっており、今は残っていないとのことだ。

   ツイッターでは、ユーザーが撮影した「ぴちょんくん号」の写真が多数あがっている。前述の広報担当者は、

「もともと写真を撮っていただくこと、お子様に親しみやすいようにするのが狙いであのようなデザインになりましたので、嬉しいです」

と話した。

   今回北陸で1台が廃車になるが、今後ぴちょんくん号が新たに生まれる予定はないのかを尋ねると、担当者は

「iQがもう生産されていないこともあり、予定はありません。今回の話題にしていただいた5号につきましても、維持予算の関係で保存などは難しいです。ですが、すべて廃車になる前に保存できる車両を残せるように検討をしたいとは思っています」

と話した。