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対ソフトバンク「708日ぶり勝利」を、原巨人が手放しで喜べない深刻な事情

   プロ野球の巨人は2021年5月30日、PayPayドームでソフトバンクと対戦し4-3で勝利した。

   巨人はこの日の勝利で2019年の交流戦から続く対ソフトバンク戦の連敗を14でストップ(オープン戦含む)。ようやく「負の流れ」を断ち切った巨人だが、専門家は同カード708日ぶりの勝利をどうみたか。J-CASTニュース編集部は、巨人で戦略コーチを務めた橋上秀樹氏(55)に分析してもらった。

  • 原辰徳監督(2014年撮影)
    原辰徳監督(2014年撮影)
  • 原辰徳監督(2014年撮影)

橋上氏「岡本の本塁打が大きなポイントに」

   巨人が2連敗で迎えた第3戦は、第1戦、第2戦目同様に巨人が初回に2点を先制して幕を開けた。

   2点リードの2回に巨人先発・戸郷翔征(21)がソフトバンク打線につかまり同点とされるも、5回に主砲・岡本和真(24)の一発が飛び出して逆転に成功。8回にはスモーク(34)がライトスタンドに叩き込み、これが決勝点となって勝利をものにした。

「この日は岡本選手のホームランが大きなポイントになったと思います。この3連戦は、巨人が先制してソフトバンクが追いつくところまでは一緒でした。1、2戦は巨人が追いつかれて五分になったところで追加点を許しソフトバンクに流れが行った。両チームが同点からの次の1点を重視していたところで岡本選手の一発が出た。巨人としては、この1本でいけるのではないかという雰囲気になったと思います」(橋上氏)

勝負を決した「目に見えない流れ」

   対するソフトバンクは5回、6回、7回と得点圏に走者を置くもあと1本が出なかった。2点ビハインドで迎えた最終9回に中川皓太(27)を攻め立て長谷川勇也(36)のタイムリーで1点を返したが、最後は甲斐拓也(28)が巨人守護神デラロサ(32)に三振に打ち取られた。

「ソフトバンクは巨人に3点目を取られてもすぐにひっくり返せるくらいに思っていたでしょう。ただ、そこが野球の流れです。得点のチャンスを作ってもなかなか次の1点が取れない。目に見えない流れです。岡本選手のホームランで巨人に流れが行った。あの一発で巨人が流れを引き寄せました。貴重なホームランでした」(橋上氏)

   この日は先発・戸郷が25日の楽天戦から中4日でマウンドに立った。5回を投げて7安打2失点、球数は88球だった。巨人は6回から継投に入り、鍵谷陽平(30)、大江竜聖(22)、高梨雄平(28)、ビエイラ(28)と細かく繋ぎ、8回から中川が登場。中川は回をまたいで9回のマウンドに上がり、2死1、2塁の場面でデラロサにマウンドを譲った。

ソフトバンクは負けても強し...

「先発の戸郷投手に関しては、まだ若いので中4日の登板は球数的にも問題はなかったと思います。この日の巨人ベンチは、継投を含めて『今日は絶対に勝つ』という思いが見て取れました。中川投手にイニングをまたがせましたが、これはペナントレース終盤で優勝がかかっている時にするような采配だと感じました。原監督にそれだけ強い思いがあったと思います」(橋上氏)

   巨人はようやくソフトバンク戦の連敗を止めたが、橋上氏は必ずしも巨人のソフトバンクに対する「苦手意識」が払しょくできたわけではないと指摘する。

「巨人の連敗は止まったが、ソフトバンクは負けても強しの印象を残したと思います。9回には一打同点の場面を作り巨人を追い詰めました。選手層に関してもソフトバンクには厚みがあります。ソフトバンクとの相性の悪さがこの日の勝利で払しょくできたかといえば、まだできていないと思います。連敗を止めたことは大きかったと思いますが、巨人はまだ苦手意識を持っていると思います」(橋上氏)