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「破天荒キャラ」から「論破王」へ...ひろゆき氏の評価がうなぎ上り  一体なぜ?識者が指摘した「深い理由」

   インターネットの話題で名字を付けずに、単に「ひろゆき」と言った場合、それはまず間違いなく、ネット掲示板「2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)」開設者の西村博之さん(44=以下、ひろゆきさん)のことである。そのひろゆきさんだが、最近、実に評判が良いのだ。なんでも、ネット上に上がっている声を見てみると、「ひろゆきのツッコミは正論中の正論」といった絶賛が上がることが多いのである。

  • 「ひろゆき」こと西村博之さん(2007年撮影)
    「ひろゆき」こと西村博之さん(2007年撮影)
  • 「ひろゆき」こと西村博之さん(2007年撮影)

「ひろゆきって基本論破するの好きだなぁ...」

   試しに、2021年5月31日に「ダイヤモンド・オンライン」が公開した、本人のインタビュー記事を見てみよう。タイトルは「【論破王】ひろゆきが『スマホ脳はヤバイ』と語るワケ」というもので、「『SNS』を見すぎじゃないか?」との小見出しの件では、ネットユーザーのありがちな行動パターンとして、

「匿名で鍵アカを作って、自分の知り合いとか、ファンの芸能人の情報だけを見ている人がほとんどです。それって、かなり偏った状態で、インターネットの恩恵にあずかっていないわけです。かなり限られた情報だけを見て、『これが普通だ』と認識してしまうおそれがあります」

と、理路整然とネットユーザーのありがちな「ダメな点」を指摘するなどしている。この記事に対しては上記の件も含める形で、「本当にそう」「その通り過ぎて」といったツイートが飛び出すなどしており、多数の賛同を集めているのだ。

   また、特定のインタビュー記事に限らず、「ひろゆきって基本論破するの好きだなぁ...」と、本人が討論の際に相手を正論で論破することが多いとしつつ、それを評価する声も多い。そのためか、前述の本人のインタビューのタイトルを見ると分かるが、タイトルの冒頭には「【論破王】」との文字が冠されているほどである。「【時代の論客】」と称えるダイヤモンド・オンラインの記事も見つかる。

かつて、ひろゆきさんといえば「破天荒キャラ」だったはずだが...

   ただ、これらひろゆきさんの「正論キャラ」は、それほど歴史があるものではない。というのも、ひろゆきさんといえば、過去に本人を被告とする民事訴訟で相次いで敗訴し、賠償金を払う意思がないことを明かしていたように、どちらかといえば「破天荒キャラ」として世の人々から認識されることが多かったわけである。しかし、近年のひろゆきさんといえば、先程も書いた通り、「討論の際に相手を正論で論破する」という、もはや当時とは逆の「理性キャラ」として認識されることも増えているわけであり、見事な「キャラ変」を遂げたと言って良いだろう。

   なぜ「キャラ変」に成功したのか。ネット掲示板に詳しいITジャーナリストの井上トシユキ氏に聞いた。

「キャラ変」というよりは、「本人のコミュニケーション能力がするどく上がった」

「私の知る限りでは、ひろゆきさんという人間の性質が大きく変わったとは考えていません。しかし、世の中の人々のひろゆきさんへの評価は確かに大きく変わりました。その原因は、『本人のコミュニケーション能力がするどく上がった』という点だと思います」

「以前のひろゆきさんは、自身の考えと世間の常識にズレがある際であっても、あまりそれを気にせず自らの主張を展開していましたが、最近は、そのズレを意識しつつ、その溝を埋めるべく丁寧に説明を行うようになっています。その結果、以前は世間の人から『飛躍しており、珍奇な主張』と思われていたものが、相手を論破するに至るかは別として、きちんと討論の相手に届くようになった、つまり、会話のラリーが成立するようになった点が『正論キャラ』『論破キャラ』『理性キャラ』と見られるようになった理由だと思います」

   そして、最後に井上氏は以下のようにも語った。

「似た変化は(実業家の)堀江貴文さんからも感じます。堀江さんの説明も、最近は実に丁寧であり、以前に比べて反発する人が減っているように感じるのです。恐らく、2人は『丁寧にしゃべるテクニック』を相当磨かれたのではないでしょうか」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)