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赤木ファイルだけでは不十分 妻雅子さんが再調査訴え、麻生財務相の責任にも言及

   学校法人森友学園(大阪市)をめぐる土地取引で決裁文書を財務省が改ざんしていた問題で、自殺した同省近畿財務局職員の赤木俊夫さん(当時54)の妻・雅子さん(50)らが2021年6月24日、東京・丸の内の日本外国特派員協会で記者会見した。

   2日前には、俊夫さんが職場で改ざんの経緯を書き残した「赤木ファイル」を国側が開示したばかり。赤木ファイルでは、改ざんは佐川宣寿(のぶひさ)・元同省理財局長の指示だったことが改めて明らかになったが、具体的な指示内容や、指示に至った経緯は分からないままだ。雅子さんは第三者委員会による再調査で「未来への教訓にすべきでないか」などと訴えた。

  • 赤木俊夫さんの遺影を前に、日本外国特派員協会で記者会見する赤木雅子さん。「赤木ファイル」でも改ざんの全容は明らかになっていないとして、第三者委員会による再調査を求めた(c)Tsuno Yoshikazu
    赤木俊夫さんの遺影を前に、日本外国特派員協会で記者会見する赤木雅子さん。「赤木ファイル」でも改ざんの全容は明らかになっていないとして、第三者委員会による再調査を求めた(c)Tsuno Yoshikazu
  • 赤木俊夫さんの遺影を前に、日本外国特派員協会で記者会見する赤木雅子さん。「赤木ファイル」でも改ざんの全容は明らかになっていないとして、第三者委員会による再調査を求めた(c)Tsuno Yoshikazu

佐川氏の指示内容も「赤木ファイルには一切出ていない」

   雅子さんは真相解明のために国などを相手取って損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こし、赤木ファイルの提出を求めてきた。国側は、その有無について答えない構えだったが、裁判所から任意の提出を求められたことを受けて提出を決めた。

   雅子さんは

「赤木ファイルには、私の知らない事実がたくさん記載されていた。夫が具体的な説明もなしに、反対をしても一方的に改ざんを指示されて苦しんでいたことが分かった」

などと話した。雅子さんは一番望むこととして

「なぜ夫が死に追い込まれなければならなかったのか、その原因と経緯を明らかにすること」

を挙げたが、赤木ファイルの内容では不十分だとの見方も示した。赤木ファイルでは、「補佐」の肩書きがついた本省職員が近畿財務局に指示したことが明らかになっているが、この職員の名前は黒塗りになっている。雅子さんは

「どのような指示が来たのか、夫に直接改ざんを指示したのは直属の上司で、そこまでに(指示が)来たのは、その補佐の方から来たのだろうと思うが、それ以上は誰からか...、佐川さんからどのような指示があったかも、赤木ファイルには一切出ていないので、佐川さんの上が、どのような指示をしたかは全然見当もつかないことだ。そこまで知りたいと思う」

などと訴えた。

「理財局内のメールも含めて調査し、事実を細部まで明らかに」

   雅子さんが特に強調したのが、再調査と麻生太郎財務相の責任問題だ。再調査については、次のように訴えた。

「夫のような死が二度と起こらないようにするために、国は、第三者委員会による再調査を行い、理財局内のメールも含めて調査し、事実を細部まで明らかにして、未来への教訓にすべきでないか」

   麻生氏が再調査に否定的な考えを繰り返していることについては、「とても残念」だした上で、公文書改ざんや俊夫さんの自殺を経ても麻生氏が財務相を続投していることを非難した。

「麻生財務相は部下である夫が死に追い詰められて3年以上たつのに、仏前に手を合わせることもなく再調査を提案することもなく、辞任もせず、財務相を続けている。私は、このような麻生財務相の振る舞いを、全く理解できない。もし部下のことを思う心があったなら、二度と部下が同じような死に追い詰められないように、何らかの行動を起こすべきではないのか」

LINEでつながっていた安倍昭恵氏、今では「一切、既読もつかなくなってしまった」

   公文書改ざん問題では、森友学園が購入しようとしていた国有地について安倍昭恵夫人が「いい土地ですから、前に進めてください」と発言したとする記載が削除されたことも問題になっている。雅子さんは、キーパーソンである昭恵氏とLINEでやり取りしていたことが明らかになっている。だが、最近になって音信不通になったことを明らかにした。

   雅子さんと昭恵氏のLINEでのやり取りは、20年7月に週刊文春が報じている。文春が大阪日日新聞記者の相澤冬樹氏の取材内容として報じたところによると、昭恵氏から5月下旬に「いつかお線香あげに伺わせてください」という返事が来たという。

   雅子さんによると、LINEのやり取りが週刊誌で報じられてからは「なかなか返事はいただけなくなった」。それでも、20年夏に安倍晋三前首相の体調悪化が報じられた際に「お体大丈夫ですか」というメッセージを送ると、「ありがとうございます」という返信があったという。だが、国が赤木ファイルの存在を認めたことを報じた新聞記事の写真を送ると、「それ以来、一切、既読もつかなくなってしまった」という。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)