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日本ボクシング連盟、TBSに抗議文 張本勲氏の発言訂正を要求「女性及び競技を蔑視したと思わせる」

   日本ボクシング連盟は2021年8月11日、東京五輪ボクシング女子フェザー級金メダリストの入江聖奈選手(19=日本体育大学)をめぐり、野球評論家の張本勲氏が「サンデーモーニング」(TBS系)でコメントした内容に対し、「【女性及びボクシング競技を蔑視した】と思わせる発言」があったとして、TBSに抗議文を発送したことを公式サイトで発表した。

   8日放送の同番組で張本氏は「女性でも殴り合いが好きな人がいるんだね」「見ててどうするのかな。嫁入り前のお嬢ちゃんが顔を殴り合ってね。こんな競技好きな人がいるんだ」などと発言。インターネット上で物議を醸していた。

   文書は10日付。日本ボクシング連盟の内田貞信会長名義で、TBSの佐々木卓代表取締役社長あて。公式サイトに公開した全文は以下のとおり。

  • 張本勲氏
    張本勲氏
  • 張本勲氏

日本ボクシング連盟の抗議文全文

   サンデーモーニング(令和3年8月8日放送)での張本勲氏のご発言について

   拝啓 時下、ますますご清祥のこととお慶び申しあげます。

   さて、貴社放送のサンデーモーニング(令和3年8月8日放送)において、オリンピック女子ボクシングフェザー級の入江聖奈選手(日本体育大学)の金メダル獲得の話題に際して、ご意見番である張本勲氏より、【女性及びボクシング競技を蔑視した】と思わせる発言がありましたので、遺憾の意を示し、当文書を送付致します。

   ボクシングは、オリンピック競技の中でも歴史が長く、技術・戦略・戦術を駆使する競技で、殴り合いではありません。選手は、体重調整を行い、試合の重圧に打ち勝ちリングに上がります。正々堂々と競技をした後には、友情や、対戦相手を心から尊敬する気持ちが育まれます。当連盟は、競技を通じて、健全な心身が育成され、競技者が人生を豊かにしていくことを目標として活動しています。

   安全面に関しても、試合前後の医師による健診や、試合中リングサイドでの医師の常駐を義務付けるなど、他の競技以上に、安全面に配慮した競技運営を行なっています。

   女子競技に関しては、2012年のロンドンオリンピックから採用された比較的新しい競技です。ヘッドガードを装着して試合を行うなど、男子競技以上に安全面に配慮しながら実施されています。当連盟でも、女性も楽しめる・活躍できる競技でなければ競技の普及や発展には繋がらないとして考え、世界に倣って啓発と普及に努めてまいりました。その結果が、入江聖奈選手と並木月海選手という二人の女子選手の大躍進に繋がったと考えております。両者ともに、競技の強さのみならず、謙虚な立ち居振る舞いや、他人への配慮ができる素晴らしい人です。競技を通じて、「痛み」を知っているからこそ、他者を尊重し、人に対して優しくできるのではないでしょうか。男性だから、女性だから、ではなく、ボクシング競技を通じて「人間力」が養われた結果であると考えております。

   このように、ボクシング競技が単純な、暴力的な殴り合いではないこと、技術を駆使した競技であることをご理解いただき、また女性だからそんな競技に取り組むべきではないという、多様性を否定するような番組内でのご発言を、視聴者の皆様に対して、訂正をしていただきたく、文書を発させて頂きました。

   一般社団法人日本ボクシング連盟は、子供から大人まで、男女の大会の普及と振興を図り、更には、高齢者でも健康的にボクシング競技を楽しめるための大会を企画しております。今後のご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申しあげます。

   今後も、御社のサンデーモーニング内で、ボクシング競技のみならず、すべてのスポーツの楽しさや価値を伝え続けていただけることを楽しみにしております。

   敬具