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「リアル精神と時の部屋」テレワーク個室が話題 使えるのは「追い込まれた」人...社長が明かす狙い

   テレワーク・テクノロジーズ(東京都中央区)が提供するテレワーク個室プランに、SNS上で注目が集まっている。「締切に追い込まれた」人を対象にしており、部屋には机と椅子しかないのだという。

   J-CASTニュースは2021年8月12日、同社の代表取締役・荒木賢二郎さんにこの部屋を提供するようになった背景などを取材した。

  • 「締切に追い込まれた方」専用テレワーク個室プランが話題に
    「締切に追い込まれた方」専用テレワーク個室プランが話題に
  • 「締切に追い込まれた方」専用テレワーク個室プランが話題に
  • 締切に追い込まれた「チーム」専用スペースも
  • 締切に追い込まれた「方々」、2人用のスペース
  • 予約サイト「テレスぺ」

「丸1日だけ本気を出せばなんとか取り戻せる希望と環境」

   テレワーク・テクノロジーズが10日に発表した「『締切に追い込まれた方』専用テレワーク個室プラン」は、1時間当たり330円から個室を借りることができる。

   部屋には机と椅子のみが置かれており、電源とWi-Fi環境が整えられているほかには何もない。さらに1、2人用の部屋はアルコール類の持ち込みを禁じており、まさに目の前の仕事に打ち込むことしかできない環境となっている。

   ツイッター上では、このプランを紹介するプレスリリース文の下記の文言が話題となり、大きな注目を集めた。

「机と椅子しかない個室を1日14時間提供することにより、個人・法人がやってしまったときに、丸1日だけ本気を出せばなんとか取り戻せる希望と環境を1時間あたり330円の低価格で提案するものになります」

   この文言を紹介するツイートの中には、約1万のリツイートが寄せられるものもあった。関心を集めたユーザーからは、「最後の砦があるという安心感は大きい」「追い込まれないとやれない私みたいな人にはぴったりですね」といった声が寄せられている。

   今回の反響によって予約数や客層に変化が現れたのか、代表取締役の荒木さんに尋ねると、

「おかげさまで、多くの方にご利用いただいております。利用目的を書く欄があるのですが、執筆、テレワーク、資料作りなど、明らかにこれまでとは異なる利用層になっていますね」

と述べる。受験勉強を目的に予約した人もいたそうで、荒木さんは「尊いなぁ」としみじみ。ユーモラスなプレスリリースは利用層の拡大に繋がったようだ。

目指したのは「雨でも嵐でも行きたい」スペース

   話題となったプレスリリースは荒木さん本人が執筆を手掛けた。

「自分は文字書かないと死んでしまうタイプの人種なんですが、最近仕事がハードでなかなかじっくりと文字を書くようなことができず。
プレスリリースは普段は機械的に書くんですが、今回は文字を書ける喜びとストレス発散で好きに書いたので。もう誰かに怒られても良いかなって。
深く考えずに20分ぐらいで書いたので、疾走感ありますよね」

   このプランを打ち出した背景には、新型コロナウイルス感染拡大の影響をあげる。同社によれば、テレワークやオンライン会議の注目が高まり、オンライン会議やウェブ面接を目的とした個人の1時間利用の需要が高まっているという。一方でこうしたプランの相場は1時間当たり1100円ほどで、長時間利用には向いていない。そこで、同社が展開するワークスペースのシェアリングサービス「テレスペ」の中で、資料作成などの「締切に追い込まれた」人向けの低価格のプランを打ち出した。

   さらに荒木さんは取材に対し、「自分が在宅ワークで追い込まれてまして、欲しいものをつくった」と述べる。

「利用データを見たら、雨の日とか暑い日って使われてなかったんですね。だから、ディズニーランドみたいにもっともっと雨でも嵐でも行きたい!!ってめちゃくちゃ喜んでもらわなきゃダメだって思って。
あすはテレスペの日だから助かった!!とか、今日はもう寝てしまって、明日はテレスペで取り戻そうとか、明日はテレスペだ!!やっほー!!みたいな。
となると精神と時の部屋一択じゃないですか」

   「精神の時の部屋」とは、マンガ「ドラゴンボール」に登場する修練部屋。SNS上で話題になった際にも「リアル精神と時の部屋!」といった声が寄せられていたが、実は荒木さん自身も「ドラゴンボール」のファンだそうだ。

「『精神と時の部屋』はもちろん意識しておりまして、サービス名の『テレスペ』を捨てる覚悟で商標検索したらもう取られてました。しばらく『テレスペ』でいきます」

「次回作にご期待ください」

   荒木さんはプレスリリースに大きな反響があったことについて、喜びをにじませる。「多くの方に楽しんでいただけたのは素直に嬉しいです。ありがとうございます」と感謝し、今後もユニークな取り組みを続けていきたいと意気込む。

「いつ収束するかもわからない人類最大のチャレンジとも言えるコロナとの戦いの中で、怒られるのを恐れて最低限の仕様を満たした工業製品みたいなプロダクト・サービスを作るのではなく、どうやったら喜んでくれるかめちゃくちゃ考えて喜ばせていきたいと思っています」

   さらに今回の反響の中には「サブスクリプションサービスが欲しい」という声もあったそうで、荒木さんはこうした要望についても検討を行っていくとしている。

「絶対嘘だと思うんですが、14時間プランに対して『サブスクならやる』という意見があったので、12時-18時以外毎日使い放題の『追い込まれホーダイナイト9,900円/月』や、毎日1.5時間だけ使える『追い込まれホーダイライト9,900円/月』などのサブスクプランにも、チャレンジしていく予定です。次回作にご期待ください」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)