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パラリンピック開会式、海外の反応は? 「サーカスのよう」「最後まで盛り上がった」各国メディア称賛

   2021年8月24日に行われた東京パラリンピックの開会式は、「WE HAVE WINGS」(私たちには翼がある)がテーマ。会場の国立競技場を「パラ・エアポート」という空港に、見立てて、車いすの少女が演じる「片翼の小さな飛行機」が、空を飛べるようになるまでを表現した。

   様々なコンセプトを詰め込んだ五輪開会式と比べて、国内では評価が高かったパラリンピック開会式。国外の報道ぶりはどうだったのか。

  • 13歳の車いすの少女が演じる「片翼の小さな飛行機」。豪ABCは「これから始まる競技の創造性を象徴」などと伝えた(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
    13歳の車いすの少女が演じる「片翼の小さな飛行機」。豪ABCは「これから始まる競技の創造性を象徴」などと伝えた(写真:長田洋平/アフロスポーツ)
  • 13歳の車いすの少女が演じる「片翼の小さな飛行機」。豪ABCは「これから始まる競技の創造性を象徴」などと伝えた(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

「サーカスのトラックの前に座っている銀色の服を着た魔法使い」のおかげで...

   各国メディアの開会式の報道では、(1)コロナ禍での開催となったこと(2)選手が参加できなくなったアフガニスガンは、ボランティアが国旗を持って入場したこと(3)国際パラリンピック委員会(IPC)のパーソンズ会長のあいさつの内容、などを重点的に取り上げるものが多かった。これらに加えて、開会式の演出に触れる報道も多かった。

   「片翼の小さな飛行機」を演じたのは、オーディションで選ばれた和合由依(わごう・ゆい)さん(13)。組織委ツイッターでは、パフォーマンスの意図を

「人間は誰もが、自分の『翼』を持っていて、勇気を出してその『翼』を広げることで、思わぬ場所に到達できる。その『翼』をテーマにした物語」

と説明している。

   英ガーディアン紙は、空港を模した演出を

「この空港で、伝統的な『ソン・エ・ルミエール』(フランス語で『音と光のショー』の意)の一連の演目を通じて、障害者に対して力を与えるだけではなく、ダイナミックで、想像力に富み、少しばかり荒っぽいビジョンが映し出された、素晴らしい場所だった」

などと評価し、和合さんについて

「これまで演技をしたことがなかったが、サーカスのトラックの前に座っている銀色の服を着た魔法使いと、フレディ・マーキュリーも認めるようなパンプ・ロックを演奏するバンドのおかげで、自分なりの表現ができていたようだ」

と紹介した。

豪ABC、飛行機の離陸は「これから始まる競技の創造性を象徴」

   オーストラリアの公共放送ABCはウェブサイトで、パフォーマンスを

「物語のクライマックスは、片翼の飛行機が飛び立つときに訪れる。これは、これから始まる競技の創造性を象徴している」

と表現。布袋氏についても、次のように言及した。

「映画『キル・ビル』の主題歌で有名な布袋寅泰氏が、(アボリジニの金管楽器の)ディジュリドゥを演奏するバスに乗って登場し、片翼機を鼓舞した。このパフォーマンスはエネルギーに満ち溢れ、最後まで盛り上がった」

   中国の新華社通信は、

「主人公の『単葉機』には片方の翼しかないが、他の飛行機と同じように空に飛び立とうと意気込んでいた。 最初は臆病だった単葉機だが、仲間の励ましで勇気と自信を得て、大空へと飛び立った」

などと解説。式でパフォーマンスしたキャスト714人のうち、障害のある人は166人いた。中にはパフォーマンスの経験がない人もいたが、

「開会式に志願し、情熱を持って世界に向けて感動的なパフォーマンスを披露した」

とたたえた。

   それ以外にも、シンガポールのストレーツ・タイムスは、

「組織委員会は、逆風の中で翼を広げようとしているパラリンピアンの勇気を強調した」

   AP通信は

「アクロバット、ピエロ、鮮やかな音楽、そしてアスリートたちの長い入場行進の始まりを告げるスタジアムの頂上での花火など、サーカスのような開会式だった」

などと伝えた。

(J-CASTニュース編集部 工藤博司)