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推しの引退に「卒業ソング」自作したら... 乃木坂ファンの愛が生んだ、奇跡のような実話とは

   2021年9月4日で「乃木坂46」を卒業する大園桃子さんに向けて、オリジナルの「卒業ソング」を送ったロックバンドが注目を集めている。

   大の乃木坂ファンだという川口タイガー祐介さんがボーカルを務める名古屋のバンド「TAWAKE」だ。大園さんの卒業を受けて、彼女への思いを込めた自作曲「別れたくないよ」を発表。乃木坂ファンの間で話題になっている。

   なぜ曲を作ろうと思ったのか。J-CASTニュースが川口さんに聞いた。

  • 27thシングル「ごめんねFinfgers crossed」をもって大園桃子さんが乃木坂46を卒業、それにファンのバンドが応えた
    27thシングル「ごめんねFinfgers crossed」をもって大園桃子さんが乃木坂46を卒業、それにファンのバンドが応えた
  • 27thシングル「ごめんねFinfgers crossed」をもって大園桃子さんが乃木坂46を卒業、それにファンのバンドが応えた

共演のオリラジ藤森も反応

   大園さんは、鹿児島県出身、2016年9月4日に3期生として乃木坂46に加入した。加入後のシングル11作のうち8作で選抜メンバーに選ばれていたが、21年7月4日にグループからの卒業が発表された。3期生からは初の卒業者で、卒業と共に芸能界も引退する。

   大園さんが参加するラストコンサートとなった8月22日の「真夏の全国ツアー2021」福岡公演(マリンメッセ福岡)では卒業セレモニーが行われた。この日に合わせてYouTubeで公開されたのが、「TAWAKE」の作った大園さんへの楽曲「別れたくないよ」だ。

   楽曲はアコースティックギターの演奏にのせて、ファン心理を象徴するようなフレーズが歌われる。「日曜日の夜空」という「らじらー!」を連想させるワードが序盤にあり、歌が進むと次第に別れを思わせる言葉が増えていく。

   途中「サヨナラに強くなれないよ」というフレーズは、乃木坂46の「サヨナラの意味」へのリスペクト、「あなたのいない坂道」は大園さんの卒業後のグループを意識しているようだ。終盤には別れを受け止めて「いつかまた逢う日まで」で締める。

   楽曲のミュージックビデオ(MV)では、乃木坂ファンから募ったメッセージが次々と紹介されていく。男女さまざまなファンが、ボードに書いたメッセージと自撮りで大園さんを応援できた感謝を伝え、今後の人生の幸福を祈っている。様々なメッセージが映像が進むにつれて流れていく。

   こうしたMVが公開された当日には、大園さんとレギュラーラジオ「らじらー!サンデー」で共演しているオリエンタルラジオの藤森慎吾さんもツイッターで「桃子に伝えましたよ」と動画に反応した。

   さらに藤森さんは、大園さんの卒業を受けて収録した27日公開のYouTube動画のエンディング曲にも、「別れたくないよ」を使っていた。こうした藤森さんの対応に、TAWAKEのバンドメンバーも、

「こんなに奇跡の連鎖が続くなんて想像もしてなかったすよ、慎吾兄さん!笑」

とツイッターで喜びを表していた。

ファンからのメッセージをMVに

   大園さんへ曲を送った「TAWAKE」は、2020年結成のバンド。作詞を担当した川口さんは、歌詞に込めた思いについて次のように話す。

「この曲は様々な方の視点で描いていて、主に僕達ファンの視点がメインですが、それ以外の方の物語も実は同時に進行しています。歌詞の場面によって主人公が変わっているところもありますし登場人物を連想させるフレーズやエピソードも歌詞にしました。

(大園さんをと周囲の人々が)共に歩んできた時系列をそのままに、その物語の続きに卒業がやってきてそれを見送る曲とし物語を完結させて頂きました」

   川口さんによれば、この「別れたくないよ」という曲はそもそも、藤森さんの相方の中田敦彦さんが「らじらー!」を卒業した際に作ったものだった。

   オリエンタルラジオがMCを務め、乃木坂46から大園さんと星野みなみさんが隔週でアシスタントとして出演していたが、20年10月に中田さんが卒業。その時に1番の歌詞とメロディを作っていたが、大園さんの卒業発表を受けて、歌詞をリニューアルし、今回の曲が完成したという。

   ミュージックビデオで紹介されたファンからのメッセージについて、川口さんは、

「メッセージ写真の募集期間を7月いっぱいとしましたが、最後の二日ほどでとてつもない量の写真がきて『さてはみんな宿題をギリギリにやるタイプなんだな』思ったのを覚えています(笑)」

とも。

「本当にさよならなので」執念で制作

   素朴な人柄と笑顔がチャームポイントだった大園さん。川口さんにとっては「こんな人がいるわけないと思っていたら本当にいた人です。これ程までに純真無垢な方は他に思い当たらないです」という程だ。

「芸能活動を継続されるのであれば今後も活躍している姿を拝見する機会があると思いますが、引退はやっぱり限りなく、本当にさよならなので。バンドの曲としてだけなら例え反響がなくても納得できたかもしれませんが。この企画は皆で作り上げた曲・MVなので最後まで執念でした」

との意気込みで企画を進め、ついに藤森さんの目に留まるまでになった。

「ミュージシャンは人の気持ちを助けることが役目だと思っています。年齢も性別も、生きる場所も環境も違う僕らが乃木坂46を通して結んだ絆をこれからも大切に生きていきたいです。大園桃子さんを思いみんなと一緒に過ごしたこのひと夏を一生忘れません」

と、川口さんは企画に協力した乃木坂46のファンや、藤森さんら楽曲公開後に話題にしてくれた人々へも感謝の言葉を向けた。

   大園さんは9月4日で乃木坂46としての活動を全て終了し、芸能界を引退する。

(J-CASTニュース編集部 大宮高史)