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尾身会長インスタ、フォロワー57万人の大反響 投稿にはどんな意図が?識者の見解を聞く

   政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(72)が、インスタグラムでの情報発信を始めた。

   アカウントの運用が始まったのは2021年9月1日で、8日昼現在のフォロワーは約57万人。投稿で本人が明かしたところによれば、目的は「若い世代との対話」。ストーリーズ機能を使ったフォロワーとのQ&Aや、インスタライブでの生配信も予定しているという。

  • 尾身茂会長(2021年撮影)
    尾身茂会長(2021年撮影)
  • 尾身茂会長(2021年撮影)

「インスタ、一生懸命勉強します」

   アカウントの運用は、尾身氏も所属する「コロナ専門家有志の会」のスタッフがサポートする。

   有志の会ではこれまで、同会名義のツイッターやnoteで情報発信してきたが、今回のインスタは尾身氏の名義。IDは「omi.shigeru」で、アイコンも尾身氏のイラストだ。認証バッジもついている。

   尾身氏のアカウントでは、9月1日夜に初めての投稿があった。

   「#ねえねえ尾身さん」と書かれた白いTシャツ姿の尾身氏の写真を添えつつ、インスタグラムを使って新型コロナウイルスについての情報を発信していくと訴えた。同日の別の投稿では、

「一緒に話し合って、皆さんの声を政府に届けたいです」

とも呼びかけていた。

   2日にはフォロワーが20万人に到達したことに感謝を示す文章を投稿。この投稿には、尾身氏が「インスタ、一生懸命勉強します。楽しみにしています」などと話すショート動画も添えられていた。

   3日にも尾身氏が登場するショート動画を投稿。その中では、これまでには若年層に自らのメッセージが届きづらかったのではないかとしつつ、「若い年代層の人と対話をしたいと思いました」と、インスタグラムのアカウントを開設した理由を説明している。

   2日と3日のショート動画には、それぞれ10万件を超える「いいね」が寄せられるなど、アカウントの投稿には注目が集まっている。

「伝わりやすい手段」として動画発信を選んだ?

   ただ、尾身氏名義のインスタでは8日昼までのところ、具体的な感染対策などの情報は発信していない。こうした投稿の傾向からは、どんな狙いが考えられるのだろうか。ITジャーナリストの井上トシユキ氏に聞いた。

   まず、尾身氏自身が語り掛ける動画での投稿が目立つことについては、

「やはり、ショート動画が『伝わりやすい手段』と尾身さんが考えているからでしょう。『文章だと読んでくれない可能性がある』と尾身さんが考えている可能性もあります。また、これらの考えについては、尾身さんの側近でネット上のマーケティングに詳しい人が進言した可能性もあります」

と推測する。

   今後は、インスタライブやストーリーズ機能を使ったQ&A企画の実施も告知されている。これらの試みについて井上氏は、若年層へのアプローチ手段として双方向性は重要だとしたうえで、

「(適切な情報を届けるためには)尾身さんが若者と同じ目線で情報を発信し、それに対して若者が反応して対話が生まれるというのが最適な状況と言えるのではないでしょうか」」

として、効果的ではないかと分析した。

   そのほか、インスタを使っての情報発信について、効果的な手段はあるだろうか。井上氏に聞くと、次のように話した。

「とにかく、あまり余計なことはせず、シンプルに尾身さんが若者に語り掛ける形にした方が良いでしょう。若い人はショート動画をはじめとする動画に対する目が肥えていますので、変にアシスタントを呼んだり、ましてや、キャラを使ったりすると逆効果になる可能性もあります。シンプルな情報発信に徹し、それが『結果的に』ネット上でバズれば、それで良いのです」

(J-CASTニュース編集部 坂下朋永)