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神奈川県警がまさかの「エルシャダイ」起用 交通安全PRに大反響、狙いを聞く

   「バイクで通勤をしているみなさん! あなたのバイク通勤時の装備は『大丈夫』ですか?」――神奈川県警察本部交通部交通総務課はツイッターで、人気ゲーム「El Shaddai -エルシャダイ-」の名シーンになぞらえてバイク通勤時の「装備」の見直しを訴えた。

   このユニークな呼びかけは大きな注目を集め、1万リツイート、1万「いいね」を超える大きな反響を呼んでいる。

   J-CASTニュースは2021年9月24日、県警にツイートの狙いや背景を聞いた。

  •  神奈川県警察本部交通部交通総務課のツイート
    神奈川県警察本部交通部交通総務課のツイート
  •  神奈川県警察本部交通部交通総務課のツイート
  •  神奈川県警察本部交通部交通総務課によるアンケート

なぜ「エルシャダイ」を起用したのか

   「エルシャダイ」は2011年4月28日に発売された3Dアクションゲーム。プロモーションビデオ(PV)での登場人物らのセリフが大流行し、インターネット上で根強い人気を博している。PVの動画や画像は現在、フリー素材として配布されており、各所で用いられている。

   神奈川県警交通総務課は21日、主人公・イーノックが装備を着用するシーンの画像をツイートに添付した。選んだ装備が弱すぎて大敗を喫する直前、名セリフ「大丈夫だ問題ない」を叫ぶ場面だ。事故に遭う前に「装備」の見直しを訴えるものとして受け止められ、大きな反響を呼んだ。

   なぜエルシャダイを起用したのか。同課によれば、エルシャダイの大流行を印象的に覚えていた警察官が、同作をフリー素材として活用できることを知り、ツイートを企画。セリフ中の「装備」という言葉やフリー素材として提供されている画像が、バイク乗車時の服装、ヘルメット、二輪車用プロテクター、エアーバッグジャケットをイメージしやすいと考えたそうだ。

   さらに同課では、かねてより二輪車を利用して出勤する30歳代から50歳代の年齢層に届く情報発信をしたいと考えていたという。その背景として県内では、交通事故で亡くなった人のうち、二輪車乗車中に死亡した人の割合は全国平均と比べ非常に高いことをあげる。2020年に二輪車乗車中に死亡した人は、30歳代から40歳代が半数以上を占めており、通行目的別で分析すると約4割が通勤中(出勤及び退勤)に亡くなっていた。

アンケート「そんな装備で大丈夫か?」の狙いとは

   エルシャダイを活用した交通総務課のツイートには、アンケートも用意されていた。「あなたのバイク通勤時の装備は『大丈夫』ですか?」という問いに、「大丈夫だ、問題ない」「一番いいのを頼む」のいずれかを選べる。

    交通総務課は、アンケートの設置理由についてこう話す。

「意識調査ではなく、『そんな装備で大丈夫か』と問いかけられたイーノックの選択をフォロワーに追体験してもらい、フォロワー自身にバイク通勤時の装備が『大丈夫か』を考えてもらう仕掛けとして、ツイッターのアンケート機能を使用しました。また、バイク通勤をしていない方には単純に楽しんで回答してもらうことも想定しております」

   アンケートの結果を活用する予定などは特にないものの、寄せられたリプライについては今後の交通安全啓発活動の参考にするという。

   これらの一連のツイートは、SNS上で大きな注目を集めた。同課によれば、アカウント開設以来最大の「いいね」が寄せられたという。「エルシャダイ」の生みの親として知られる竹安佐和記さんや、ルシフェル役の声優・竹内良太さんも反応し、「そんな装備で大丈夫か」というセリフも寄せられた。

   こうしたSNS上での反響について、「おおむね好意的に受け止めてもらえて安堵しております。また、関係者である竹安佐和記氏や作品に出演されていた竹内良太氏からも温かいリプライなどをいただき感謝しています」とコメントし、最後にこう呼びかけた。

「本件ツイートに対してはヘルメットについての反応が多くみられましたが、ヘルメットのみならず乗車時の服装、グローブ、靴、二輪車用プロテクター、エアバックジャケットなど二輪車乗車中に自分の命を守る装備全般について可能な限り一番良いものを装備していただければと思います」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)