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ドンキの正直すぎるセール「しくじり市」なぜ誕生? 広報が明かす「仕入れ失敗」への「猛省」

   ディスカウントストア「ドン・キホーテ」の「しくじり」にSNS上で大きな注目が集まっている。一部店舗で、仕入れに「しくじって」しまった商品を投げ売り処分価格で販売する「担当者仕入れしくじり市」が開催されているのだ。店頭には「猛省 コロナを甘く見ていました。どうかお助けください」と、哀愁漂うポップが掲げられている。

   いったいドン・キホーテに何があったのか。J-CASTニュースは2021年9月28日、ドン・キホーテを展開するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)の広報室に取材した。

  • ドン・キホーテ新川店(G-wen@グエたぁチャンネルさん提供)
    ドン・キホーテ新川店(G-wen@グエたぁチャンネルさん提供)
  • ドン・キホーテ新川店(G-wen@グエたぁチャンネルさん提供)
  • ドン・キホーテ新川店(G-wen@グエたぁチャンネルさん提供)
  • MEGAドン・キホーテ旭川店(えふのじさん提供)
  • ドン・キホーテ宇治店

「12店舗の仕入れ担当者がしくじり対象者」

   「担当者仕入れしくじり市」開催中の店舗に掲げられたポップによれば、当該店舗では「度重なる仕入れの失敗に加え、コロナ禍の影響により、商品が思ったように売れず、その結果、次の新しい驚安商品が仕入れられないほど、倉庫が圧迫」してしまったのだという。

「また、その仕入れ過ぎた商品に対して処分を怠ったことも大きな原因ですべては我々の甘い考えであり、不徳の致す限りです。上司からも厳しい叱責を受けました」

   こうした猛省から、圧迫した倉庫を整理するため、投げ売り処分価格の「担当者仕入れしくじり市」を実施することになったと経緯を綴っている。

   SNS上ではこのポップが大きな注目を集め、「担当者よ、頑張るのだ」「めっちゃ正直ww」「しくじり市...ネーミングが潔くて好き」といった声が寄せられている。また当初SNS上で注目を集めたしくじり店舗は北海道の小樽店だったが、東京や京都の一部店舗でも「担当者仕入れしくじり市」が開催されているという。

   いったい全国何店舗の担当者がしくじってしまったのだろうか。広報室は赤裸々にこう述べる。

「正直、しくじりは全店舗の担当者が経験しているところでもあります・・・。今回の『しくじり市』で言えば、全国12店舗で開催し、12店舗の仕入れ担当者がしくじり対象者です」

ドン・キホーテはなぜ「しくじった」のか

   広報室によれば、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、需要や売り上げには非常に大きな変化があったという。外出自粛やテレワークの拡大によって都心駅前店などでの売り上げは減少。さらにコロナ禍前まで売上を牽引していたインバウンド分野は苦戦を強いられた。

   ドン・キホーテは、こうしたコロナ禍への対応の遅れを猛省している。

「コロナ禍でお客さまの需要が変わってくる中、自分で仕入れをした商品に対し、過去の成功体験から『ニーズのある商品だから売れるはず!』という思い込みで、見切り(処分)が遅くなってしまい、それが大量の売れ残りを作ってしまいました。
早期に切替えを行えなかった変化対応への遅れに対し『猛省』をしています」

   ドン・キホーテでは、店舗の担当者が自由に仕入れから売価設定まで行うことが出来る「権限委譲」という運営スタイルをとっている。仕入れにしくじり商品在庫が増えてしまった店舗では、新しい商品の仕入れができない。「このままでは客のニーズに応えられない」として、早急に課題を解消するため、しくじり市の開催を決意した。

「状況に困窮した店舗からも、『利益減を伴う在庫を一掃する方法はないか』と要望が多々ありましたので、仕入れ失敗への対応遅れを猛省し、お客さまに対して素直に状況を説明したうえで、『しくじり市』という場にて特価品としてお客さまに喜んでいただこうと、実施することとなりました」

   ただしPPIHグループとしては2021年6月期の売上、営業利益、当期純利益において過去最高を更新している。郊外店では、食品や酒カテゴリーの売り上げが大きく伸びているそうだ。

「猛省」を生かして今後は・・・

   今回の「猛省」を生かし、ドン・キホーテでは今後どんなことに取り組んでいくのだろうか。広報室は次のように意気込みを述べる。

「『猛省』はしておりますが、決して『しくじり』にびびることなく、これからもお客さまに喜んでもらえる商品をドンドン積極的に仕入れていきます!また、在庫が生まれることなく店頭商品の入れ替えを活性化させていくためのフローを構築したので『しくじり市』が今後は開催されないことを願っています・・・」

   またSNS上で「しくじり市」が大きな注目を集めたことについては、「うれしいような不名誉のような複雑な気持ちです(笑)。 今後もお客さまの声を参考に楽しんでいただける店舗づくりを行っていきたいです」とコメントした。

   しくじり市は現在、不定期で開催されている。万が一、現在の12店舗以外の開催が決定したら改めて伝えていくとして、広報室は最後にこう呼びかけた。

「しくじってしまった商品は、毎週価格見直し(値下げ)にてお客さまへご提供し、楽しんでいただける新しい商品をドンドン仕入れていきたいと思います。
しくじり市で失敗してしまった担当者を救ってください。よろしくお願いいたします」

(J-CASTニュース編集部 瀧川響子)