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「なにしから はけっんが あるでものす」 間違っているのに読める!広告が反響「日本語すごい」

「みさなん おつれまかでさす。...きづまきしたね?」

   JR秋葉原駅(東京都千代田区)近くにある交差点には、こんな文章の看板が設置されている。文字を並び替えても、語頭と語尾が正しければ読めてしまう「タイポグリセミア」と呼ばれる現象を活用した広告だ。

  • 「間違っているのに読める」秋葉原駅前の広告が話題に
    「間違っているのに読める」秋葉原駅前の広告が話題に
  • 「間違っているのに読める」秋葉原駅前の広告が話題に
  • 「みさなん おつれまかでさす」間違っているのに読める太陽巧芸社の広告
  • 看板の裏側はQRコードになっている。読み込むと太陽巧芸社の公式サイトにつながる
  • 中尾清月堂が2018年に発表した「タイポグリセミア広告」(ニュースリリースより)

「こりゃ面白れぇ!!!」「日本語ってすごい」

   商業施設「ヨドバシAkiba」がある秋葉原駅前の交差点を見上げると、消火栓の標識に吊るされた文字広告が目に飛び込んでくる。何の気なしに読めば、通行人をねぎらっているような文章。しかし、よく目を凝らして見ると、妙な「違和感」を覚える。

「みさなん おつれまかでさす。...きづまきしたね?」

   そう、文章が微妙に間違っているのだ。本来は「みなさん おつかれさまです。...きづきましたね?」という文章だろう。そして、その後も次のように続く。

「うえを むいるていと なにしから はけっんが あるでものす。きょうも あたなに いいとこが ありまうよすに」

   ツイッター上では、この文章が「間違っているのに読めてしまう」と話題に。「散々通っていたのに見ていませんでした...」「こりゃ面白れぇ!!!」「日本語ってすごい」と反響が広がった。

   看板を設置したのは、屋外広告や看板製作を手がける太陽巧芸社(東京都練馬区)。2021年10月19日、J-CASTニュースの取材に対し、太陽巧芸社の担当者はコロナ禍を受けた「広告不況」を背景に、20年9月に看板を設置したと話す。

「秋葉原のヨドバシの目の前のここ(の枠)が空くということ自体が、広告業界的にも『こんなとこまで空いちゃうんだ』みたいな感覚でした。だったら、うちで使おうか、ということで、お借りさせていただきました」

   看板の裏面にはQRコードが記載されており、読み込むと太陽巧芸社の公式サイトにつながる仕組みだ。

「タイポグリセミア広告」で大ヒットの事例も

   今回の広告で用いられたのは、「みなさん→みさなん」のように、文字を並び替えても語頭と語尾が正しければ読めてしまう「タイポグリセミア」と呼ばれる現象だ。

   実は過去にも、同様の手法を用いた企業広告が話題になったことがある。たとえば16年にコペルインターナショナル(東京都中央区)が運営する「コペル英会話教室」が掲出した広告ポスターには、こんな文章が綴られていた。

「おもえば、わたたしち にほんじん も、いつも かんきぺな にほんご を つかてっいる わけ では あまりせん。つっかえたり、いいまちがたえり、ごじ・だつじが あたっり。(以下略)」

   18年には富山の老舗和菓子店「中尾清月堂」(富山県高岡市)が、どら焼きのリニューアルに際したキャンペーンを実施。キャンペーンはタイポグリセミアを用いた以下の広告の「間違い」を、消費者にクイズ形式で答えてもらう、というものだった。

「みまなさに だじいな おらしせ。こたのび なかお せいげどつう が ぜたっい に ばれない ように どやらき の リニュアール を おなこい ました」

   当時の中尾清月堂のニュースリリースによると、キャンペーン期間中の10日間、過去最高の販売実績となる6万個近いどら焼きを売り上げたという。

   太陽巧芸社の担当者は「普通の広告として出すのではなく、(タイポグリセミアを使うことで)元気のない日本を、どうにか笑いにできれば、という思いで掲出しました」と今回の広告のねらいを語った。

   まちで なげになく みけかる ここうくも、 よくみたら まがちっている かしもれない。