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話題の水族館「アトア」、生き物がかわいそう? 「水槽狭すぎ」客から指摘...運営会社の見解は

   「注意するスタッフはおらず、大人はインスタ映えに夢中」--。兵庫県神戸市で新たに開業した水族館「アトア(átoa)」が、意図しない形で注目を集めている。

   客からの苦情がSNSで拡散し、改善を求める声が続々と寄せられる事態になっている。

  • アトア公式サイトより
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著名人「ダメだ、その水族館」

   アトアは2021年10月29日に開業した。アートとアクアリウムが融合する「次世代水族館」「劇場型アクアリウム」と喧伝する。館内には約60の水槽が置かれ、コツメカワウソ、カピパラなど約100種類3000点の生物を展示している。

   神戸の新名所は複数のメディアで紹介され、SNSでは客が撮影した写真が多数投稿されている。

・ネットで話題沸騰、神戸にオープンした水族館「アトア」は超SNS特化型水族館だった(ねとらぼ)
・フォトスポットの宝庫!神戸の新「アート水族館」に潜入(Lmaga.jp)
・アートと融合した水族館「アトア(átoa)」開業。シンボル水槽や空間演出で独創的な世界を楽しめる(トラベルWatch)

   盛り上がりを見せる中、ネガティブな意見も広まっている。鑑賞したという作家の岸田奈美さんが、11月22日にツイッターで次の感想を書き込むと、合計6000以上リツイート(拡散)された。コピーライターの糸井重里さんも「ダメだ、その水族館!」と反応した。

「子どもがガラス蹴ったり...」

「狭くてチカチカする水槽で魚が横向きに浮いてて、餌あげちゃいけない魚に子どもたちがバンバン餌投げてたけど注意するスタッフはおらず、大人はインスタ映えに夢中、死んだようにうつ伏せになるゾウガメだけ癒しだったけど悲しい」(岸田さんのツイート)
「カピバラを見にきたけど、屋上の飲食店の端に詰め込まれてて、夜だからかもしれんけど客層がクッソ悪いから、子どもがガラス蹴ったり、大人が上から唾吐いたりしてて、いかにカピバラをビビらせて写真撮るかみたいになっており、でも誰もスタッフとか立ってないから『あかん』と言うても繰り返される」(同)

   投稿にはさまざまな意見が寄せられ、中でも展示スペースの改善を望む声が目立つ。

   11月1日に鑑賞した20代の女性は、J-CASTニュースの取材に「魅力的な魚達もいて可愛く癒されました」と満足する一方、「屋上にいるアザラシの水槽の小ささには悲しくなりました」と問題視した。18日に足を運んだ50代女性も口を揃えた。

   20代の男性は「多くの人が指摘しているアザラシやペンギン、リクガメ達の飼育スペースには驚きました。これまで水族館や動物園が大好きで全国色々な所に行きましたが、今までで一番小さいスペースだと思います」と指摘し、飼育環境の見直しを要望した。

運営会社の見解は

   アトアの運営会社に24日、前述の投稿への見解を問うと、「館内(観覧エリア)には常時スタッフを各所に配置し、お客様のご案内やトラブルの早期発見に努めています。また飼育員や営業職員が、不定期で巡回しています。ご指摘の内容は、当施設では確認できておりませんが、事実であるならば残念なことですし、スタッフの目に留まっておりましたら、本来注意させて頂くべき内容です」と答えた。

   展示スペースが狭小ではないかとの指摘には「お客様の率直なご感想として真摯に受け止めさせて頂きたく存じます」としつつ、「弊社の飼育展示に係る経験等において、飼育生物ごとの生態に応じた環境確保に努めております」「当施設の規模から約100種3000点の展示は多くはなく、水槽内での過密飼育のような事実もございません」との認識を示した。

   また、飼育員は新人を除く全員が水族館勤務経験者で、「生物を健康な状態で長く展示することを最優先としています」とも付け加えた。獣医も2人配置する。生物の健康状態は開業時から良好で、一部の生物はケージ外での自由な展示を目指し、トレーニングもしているとする。

「オープン一ヶ月が経過し、部分的な改良は順次対応しております。また、通常運営において、段階的に進めるべき計画もございます。先ず、生物の健康を維持し福祉の向上に努めること、そして、ご来館いただいた皆様が安心して生きもの達をご覧いただけるよう、必要な対策を順次取り組む所存です」