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コロナ感染「自己申告」で共通テスト免除の可能性 不正対策は?大学への要請、文科省に詳細を聞く

   大学入学共通テストを前に、コロナ感染の診断書などがなくても自己申告すれば共通テストを免除するよう各大学に要請した、と文科省が発表したことに対し、それを認めるのはおかしいのではないかとの声もネット上で出ている。

   受けない方が有利になると虚偽の申告が出てくるのではないか、という懸念からだ。こうした点についてどう考えるのか、文科省の見解を聞いた。

  • 共通テストの免除方法に疑問が(写真はイメージ)
    共通テストの免除方法に疑問が(写真はイメージ)
  • 共通テストの免除方法に疑問が(写真はイメージ)

「自己申告を認めるのはおかしい」とのツイートが大反響

   共通テストは、2022年1月15、16日に全国一斉に行われる。オミクロン株を中心に新型コロナウイルスの感染が急拡大しており、文科省は、テスト直前の11日になって、感染者らの受験機会確保について各大学に異例の要請を行った。

   その中では、受験生が感染したときは、「医師の診断書の提出等を求めることが基本になる」としたうえで、医療機関の事情などで提出が難しい場合は、各大学は、「個々の受験生の状況に応じて対応すること」とした。また、受験生が保健所から濃厚接触者と伝えられたときは、それを確認するのが難しい場合があるとして、「濃厚接触者に該当すると判断した保健所の名称や保健所から連絡があった月日等の自己申告により行うこと」とした。

   テレビのニュースで診断書入手が難しいときは自己申告が可能だと紹介されると、ツイッター上で12日にその画像が投稿され、それを認めるのはおかしいと不満が出た。この投稿は、5000件ほどもリツイートされて拡散している。

   こうした声が文科省にも相次いだためか、同省は13日、「受験機会の確保に関するQ&A」をサイト上に出し、受験生向けに説明した。

   「共通テストを受験せずに各大学の個別試験だけ受験した方が有利になるのではないでしょうか?」との質問に対しては、「本人が、有利になるからというような理由で意図的に共通テストを受験しない方法を選択できるようになるものではありません」と不正を認めない考えを示した。各大学は、個別試験だけで合否判定することになるため、「共通テストを受験した他の受験生の能力と比較して、十分それを上回る能力を有するかどうかを慎重かつ厳格に判定するものと考えられます」ともした。そして、「今回の措置により、判定基準が易しくなって当該受験生が本人の能力とかかわりなく有利になるようなことはないと考えています」と結論づけた。

「大学は、後で診断書を求めるなど適切に対応すると思う」

   それでは、共通テストを意図的に受けない不正をどう防ぐのだろうか。

   文科省の大学入試室は1月14日、J-CASTニュースの取材に対し、感染したときも、診断書がなければ他に証明するものがないため自己申告になるとしたうえで、次のように説明した。

「申告は、受験生次第ですので、不正を防ぎようがないところもありますが、各大学の運用になりますので、診断書を後で提出してもらうこともあると思います。いつどこで陽性が出たのか、話を聞く場合もあるかもしれません。大学は、様々な形で確認を取ると思いますので、診断書がないときも適切に対応すると考えています」

   受験生が濃厚接触者になったときについては、こう話す。

「こちらも受験生次第ですが、保健所から証明が出るものではありませんので、確認を取ることは要しません。ただ、各大学の運用で、保健所に電話をかけて受験生に連絡したのか確認するところもあるかもしれません」

   1月29、30日の追試験も受けられず、共通テストを免除される受験生の数がどのくらいになるのかは、まったく分からないとした。各大学も準備に追われており、コロナ感染などで15、16日のテストを受けられない受験生がいるかの情報もまだ把握していないとしている。

   なお、追試も含めて共通テストを受けなかった場合、各大学がテストを受けた受験生と比較して厳格に判定するとした点については、「大学の判断によっては、個別試験の合格ラインを高くしたり、調査書を重視したりすることもありえます」と話している。

(J-CASTニュース編集部 野口博之)