黄色いワッペンやヘルプマーク、フリマサイトで転売相次ぐ 関係団体やサイトはどう対策?

   新小学1年生に交通安全事業として配布される「黄色いワッペン」が、フリマサイトに転売されていることが問題になっている。2024年は取り組み開始60年を記念し、ポケモンとコラボしたピカチュウのイラストが入ったデザインになっている。このことも転売を加速させているとみられる。

   必要な人が身に着けるために無料で配布されているはずなのに、フリマサイトへの転売が問題になっているものはほかにもある。例えば、ヘルプマークだ。J-CASTニュースでは、フリマサイトや配布元、普及・啓発団体に現状や対策を聞いた。

  • ヘルプマークを使う人(イメージ)
    ヘルプマークを使う人(イメージ)
  • ヘルプマーク
    ヘルプマーク
  • みずほフィナンシャルグループ公式サイトより
    みずほフィナンシャルグループ公式サイトより
  • マタニティマーク
    マタニティマーク
  • マタニティマーク
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  • ヘルプマークを使う人(イメージ)
  • ヘルプマーク
  • みずほフィナンシャルグループ公式サイトより
  • マタニティマーク
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「黄色いワッペン」には保険が付帯、転売の購入者は保険金を受け取れない

   「黄色いワッペン」の配布は、みずほフィナンシャルグループ、損害保険ジャパン、明治安田生命保険、第一生命保険の4社が行っている交通安全事業。ワッペンには交通事故傷害保険が付帯している。「転売禁止」の記載があるが、フリマサイト「メルカリ」を見ると、黄色いワッペンが出品されていることが確認できる。通常のデザインのものが300円~1000円台で出品されているほか、ポケモンとのコラボデザインのものは3000円~4000円程度で取引されているようだ。

   みずほフィナンシャルグループの広報室の担当者は、J-CASTニュースの取材に、転売の事実は把握しているとして「関係各社と連携のうえ、只今然るべき対応を検討しております」とした。

   さらに、「『黄色いワッペン』は子どもたちが、交通事故に遭わずに毎日安全に通学してほしいとの願いを込めて贈呈しているものであり、転売は禁止としていることから、誠に遺憾です。 また、本取組の主旨をご理解いただき、これらの転売品を購入もお控えいただきたいと思っております」と呼びかける。

   23年からフリマサイトへの出品を認識したといい、対策としては、「無断販売・転売を禁じる文言を追加」のほか、「フリーマーケット運営事業者への違反品申請を行っています。今後については状況を注視したうえで、フリーマーケット運営事業者への申し入れや別途協議等も含めて対応して参ります」と回答した。

   なお、交通事故傷害保険については、ワッペンの「交付を受けた」新小学1年生が対象となり、「保険金のお支払いについてはワッペンの所持・着用については必須としておりません」という。そのため、転売されたワッペンの購入者が保険金を受け取ることはできない。

フリマサイトに「過去に驚くほど多種多様なハンドメイドのヘルプマーク」

   義足や人工関節、内部障害など外見からは分かりづらいものの、援助や配慮を必要としている人が援助・配慮を受けやすくするための「ヘルプマーク」も過去に転売が問題となっている。この問題はJ-CASTニュースでも18年3月に報じた。

   現状はどうなのか。一般社団法人ユニバーサルヘルプカード協会代表理事の渋谷みち代さんは、「減りましたが、現在も見られます」という。

   また、同協会はXで、ヘルプマークのハンドメイド品が出品されているとして、警鐘を鳴らす投稿をしている。実際、メルカリやYahoo!フリマを確認したところ、本体よりもヘルプマークを入れるケースやカバーのハンドメイド品の出品が目立つ。

   これについて渋谷さんは、「過去に驚くほど多種多様なハンドメイドのヘルプマークが出回りました」とし、次のように例を挙げた。

「・アイロンビーズで作ったヘルプマーク
・くまさんやかわいい動物が抱っこしたぬいぐるみヘルプマーク
・革製品で作ったヘルプマーク
・手芸品のヘルプマーク又は手芸品のネックレス型ヘルプマーク アクセサリー
・ディズニー、サンリオ、ジブリ、その他、有名キャラをレジンで作り、合体させたヘルプマーク
・ロゼットと呼ばれるフリフリリボンの中のヘルプマーク」

ハンドメイド品はNG、救急隊がアクセサリーと間違える

   こうしたハンドメイド品を使うことに対し、渋谷さんは緊急時に救急隊などがアクセサリーと見間違えてしまう懸念を指摘する。

「多種多様なアクセサリーヘルプマークだと救急隊もお洒落でつけているのか?緊急を要する難病の方か?見分けがつかなくなります。そもそも可愛いから持つものでも、アクセサリーとして持ち物でもありません」

   渋谷さんはヘルプマークについて、使用する人の中には倒れてしまう恐れがある病気を抱える人もおり、救急搬送に至るケースもあるといい、

「ヘルプマーク・ヘルプカードは緊急、災害時の災害弱者対策としても必要です」
「ヘルプマーク→ヘルプカードを見て的確な搬送病院を決める役割や搬送先の病院でも、治療のヒントの役割を果たしています」

と説明する。さらに、総務省消防庁の係長から聞いた話として、「救急隊はヘルプマークをつけている方が倒れている場合、その方が何の病をお持ちの方か?詳しく記されてあるヘルプカードを持っていないか?尋ねます。ヘルプカードに記されてある『かかりつけ医』にスムーズに搬送可能だったケースを話してくれました」とも伝えた。

   なお、フリマサイトでのハンドメイド品の販売は、マタニティマークでも散見される。J-CASTニュースはマタニティマークを管理・運営する「健やか親子21」事務局に取材を申し込んだが、取材は受け付けていないとの回答だった。マークの使用規程には、事務局に報告をすれば無料で使用することができるものの、営利目的や「マタニティマークの作成趣旨に反するなど、著しく不適当と認められる場合」の利用はできないことが記載されている。

Yahoo!は担当者が変わると「違反報告を出しても違反品になりません」

   フリマサイトの対応はどうか。渋谷さんによると各社で異なるといい、メルカリや楽天ラクマは「ヘルプマークというワードをはじくようにして当初から即、解決されました」と明かした。

   Yahoo!フリマやYahoo!オークションは、22年に椎名林檎さんのアルバムに付属したグッズがヘルプマークと酷似していることが問題になった際には一掃されたものの、担当者が変わると「違反報告を出しても違反品になりません」という。

「徹底した対応ができないので10年経過したヘルプマークもまだ販売され続けているわけです」

   一方で、J-CASTニュースの取材に応じたLINEヤフーの広報担当者は、Yahoo!フリマでは、ヘルプマークについては「その本来の使い方の範囲を超えて、一部では悪質なケースも確認されたことから出品禁止物と判断しています」と回答した。

   「黄色いワッペン」やマタニティマーク、その関連商品の出品については「現状、禁止物とは判断しておりませんが、悪用されるケース等が確認された場合には状況に応じて禁止物への追加を検討します」という。

   禁止物の出品への対策については、ユーザーからの違反申告機能を設置しているほか、「定期的にサービス内のパトロールを実施しており、違反対象の出品物は随時削除を行っています」という。また、「社会情勢等に応じて出品禁止物等のルールは随時見直しを行っています」と明かした。

   また、メルカリにも「黄色いワッペン」やヘルプマーク、マタニティマークが出品禁止となっているかどうか尋ねたが、「個別の出品物に対する対応方針については、本件に関わらずコメントは差し控えさせていただいております」と回答した。

   「多様な価値観によるさまざまなご意見があるものと認識しております」とし、「出品禁止物の該当性については2021年1月に定めた『マーケットプレイスの基本原則』及び本原則に則り定めている利用規約・ガイドに準じて判断を実施しております」と説明している。

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