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涙が表す「幸福の限界」とは!? 小津映画、世界的普遍性の謎を読み解く。

 代表作『東京物語』は、英国映画協会発行の映画雑誌「Sight & Sound」による
2013年のアンケートで世界の映画監督が選出したナンバー1映画となるなど、
小津安二郎は今も注目を集めている映画監督である。
その小津作品の中でも頂点と評されるのが紀子三部作、『晩春』『麦秋』『東京物語』だ。
各作品のフィナーレに近い場面で、
ヒロインを演じた女優原節子は全身を震わせて泣き崩れる。

小津が、不滅の名を残し得たのは、この三つの映画のフィナーレで
原に号泣させたからだといっても過言ではない。
「泣く」という行為を切り口に、幸福の限界、幸福の共同体の喪失、
という小津の主題と本質に迫る画期的評論。

【目次より】
はじめに
第一章   ほとんどの小津映画で女優たちは泣いた
第二章  小津映画固有の構造と主題
第三章  思想としての小津映画
第四章  原節子は映画の中でいかに泣いたか
第五章  原節子をめぐる小津と黒澤明の壮絶な闘い
第六章  『晩春』〔Ⅰ〕―原節子、初めての号泣
第七章   『晩春』〔Ⅱ〕―娘は父親との性的結合を望んでいたか
第八章  『麦秋』―失われた幸福なる家族共同体―
第九章  『東京物語』― 失われた自然的時間共同体―
第十章   喪服を着て涙を見せずスクリーンから消えていった原節子
おわりに

【著者プロフィール】
末延芳晴(すえのぶ よしはる)
1942年東京都生まれ。文芸評論家。東京大学文学部中国文学科卒業。
同大学院修士課程中退。1973年欧州を経て渡米。
以来98年までニューヨークで現代音楽、美術等の批評活動を行い、
帰国後文芸評論に領域を広げる。
『正岡子規、従軍す』(平凡社)で第24回和辻哲郎文化賞受賞。
『永井荷風の見たあめりか』(中央公論社)、
『寺田寅彦 バイオリンを弾く物理学者』(平凡社)他著作多数。

http://shinsho.shueisha.co.jp/

書名:原節子、号泣す
著者:末延 芳晴
発売日:2014年6月17日
定価:本体760円+税

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