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日中関係最悪のいま、在日中国人たちはどう生き、何を思うのか?

 日中関係がギクシャクして、いま過去最悪といわれているが、いったい日本に住んでいる70万人といわれる中国人は何を思い、どう日々を送っているのだろうか。本書は、反日デモ1年を経て刊行した『在中日本人108人の それでも中国に住む理由』の姉妹版として企画され、刊行に至ったもの。中国人著者だからこそ聞き出せた在日中国人の本音が語られている。

 たとえば、28歳で来日し、在日中国人の日本での奮闘ぶりをドキュメント映像に収めた張麗玲さん。フジテレビにかけあって、機材一式を借り出したバイタリティあふれる女性だ。撮りためた映像は編集され、中国で放送される機会を得ると、大反響を呼んだ。歌舞伎町案内人としてつとに有名であり、そして最近は日本国籍を取得し新宿区議への転身をはかる李小牧さんは、歓楽街で生きてきたからこそのドラマさながらの体験談を披露してくれる。日本での生活に絶望し心中まで考えた応暁雍さんは、自分と同じ子育ての悩みをもつ同胞のために、日本の役所の助けも借りて保育園を作った。15年の不法就労の末、娘の学資を稼ぎだし、無事娘を医者に育てた丁尚彪さんの苦労話もある。

こうした彼ら33人の日本での生活を追うことで、著者は次のように期待している。日本人の中国理解を助け、中国人の日本理解を助けたい。そして中日両国の人々に在日中国人事情を理解してもらい、さらには両国の若い世代にエールを送り、勇気を持って突き進むエネルギーを与えたい。

趙海成(チャオ・ハイチェン)
1955年北京生まれ。82年に北京対外貿易学院(現在は対外経済貿易大学)日本語学科を卒業。85年に来日し、日本大学芸術学部でテレビを専攻。88年には初の在日中国人向け中国語新聞『留学生新聞』の創刊に携わり、編集長を10年間務める。95年、10ヵ国の在日外国人向け外国語媒体を束ねる「外国人情報誌連合」代表に就任。99年、中国情報を発信する日本の衛星放送事業者、大富(CCTV大富)の宣伝部長。2002年に中国に帰国し、以後は日中を行き来しながらフリーのライター、カメラマンとして活躍している。
     

書名:在日中国人33人の それでも私たちが日本を好きな理由
著者:趙海成
訳者:小林さゆり
発売日:2015/3/20
定価:本体1800円(税別)

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