名優の遺体が「誘拐」されるという異常な幕開けで事件は始まる。娘の凛子は「刑事嫌い」で刑事課の協力を拒む。代わりに総務課渉外係が窓口となるが......。
実際の警察組織には「渉外係」はないが、テレビドラマの影響なのだろう。この「渉外係」が一筋縄ではいかないおっさんなのだ。どの捜査部門でもつまはじきにされ、「渉外係」に飛ばされてきたという経歴。外面はいいが、内部にはいばるというメンタリティーの持ち主だ。
遺体が持ち去られた名優にも怪しい過去があった。かつて経済事件への関与が疑われて、厳しい取調を受け、警察にはうらみを持っていた。それゆえ娘も「刑事嫌い」になったのだ。
葬儀を舞台にしたミステリーという発想が面白い。捜査には協力しなくないけれど、そのままでは遺体は腐敗してしまう。「お父さんを冷蔵庫に入れて!」というのは娘の必死の呼びかけなのだ。
『殺し屋たちの町長選』で2015年、「このミステリーがすごい!」大賞の隠し玉となってデビューした加藤鉄児の第2作。「大賞の隠し玉」というのは、大賞を受賞しなかったものの版元が出版した作品のこと。それだけ加藤の実力を高く評価したということだろう。
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