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「捨ててしまう紙」は実は貴重な史料&資料

書評掲載元:読売新聞 7月30日 書評

駅弁掛紙の旅

 駅弁掛紙について、本書は冒頭で「駅弁の蓋の上にとって紐で縛られているただの紙」と説明しているが、それは一般の人向けであり、とくに駅弁をフィールドにする鉄道ファンにとっては大切なアイテムだ。だから「大多数の人は、食べ終わった弁当殻と一緒に捨ててしまう紙」なのだが、著者は、古書店や骨董市などにも探しに出かけ、ネットオークションで見つけたは購入し、その所蔵総数は1万点を超えるという。

 掛紙は、通信や情報網が発達していなかった時代には広告媒体や名所案内役割を担っており、購入者が意見を寄せる通信票にも使われていた。現代では史料として、鉄道グッズとしての魅力が収集の意欲をそそる。本書は、著者のコレクションの一部をカラー写真で紹介しながら、駅弁視点で鉄道の歴史をたどったものだ。

 評者の作家、宮部みゆきさんは「鉄道の歴史が時代を映すのならば、駅弁掛紙にも時代の証言者たる資格は充分にあり、著者のコレクションは明治から昭和の風俗考証の資料として貴重だ」と述べ、グラビアの掛紙の美しさに感嘆している。

 夏休み、あるいは秋の行楽シーズンに出かける旅の参考にいかが?

  • 書名 駅弁掛紙の旅
  • サブタイトル掛紙からたどる明治~昭和の“駅と町”
  • 監修・編集・著者名泉 和夫 著
  • 出版社名交通新聞社
  • 出版年月日2017年4月15日
  • 定価本体900円+税
  • 判型・ページ数新書・232ページ
  • ISBN9784330773179
 

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