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累計38万部の人気シリーズ、第8弾

ニューヨークの魔法のかかり方

 J-CASTニュースでコラム<「トランプのアメリカ」で暮らす人たち>を連載中の岡田光世さんの文春文庫エッセイ「ニューヨークの魔法」シリーズの第8弾となる『ニューヨークの魔法のかかり方』が2017年12月5日に発売された。同シリーズは文春文庫としては異例のロングランを続け、2007年の第1弾「ニューヨークのとけない魔法」以来、第7弾の「「ニューヨークの魔法の約束」」まで累計38万部を数えている。

思わずハラハラする場面も

 著者の岡田さんは、米国留学のあと、日本の大手新聞社の米国現地紙記者を経験。その後も、ニューヨークを拠点に、長く米国と日本を行き来してきた。市井の人々とのささやかなやりとりで、ちょっと気分がよくなったり、考えさせられたりするエッセイが、ほぼ一話完結で収められ、必ず肝になる英文が登場するので、ちょっとした英語の勉強になるのも今までと変わらない。

 今回の第8弾は、2014年12月に清流出版から出た単行本に手を入れて文庫化したものだが、岡田さんのアメリカでの「体当たりぶり」は相変わらずで、思わずハラハラするところもある。

 たとえば、同時多発テロ事件の半年後にマンハッタンからニュージャージー州の友人宅に戻る途中で迷子になって民家に助けを求めたときのエピソードは、1992年にルイジアナ州で射殺された日本人留学生、服部剛丈君の事件に触れる形で綴られている。そこで筆者に何度も投げ返された「Go away!」(消え失せろ!)という言葉は、いまになっても銃による悲惨な事件が後を絶たないアメリカの臨場感が伝わってくる。

 J-CASTニュースでは、トランプ大統領が誕生した後の米国の人たちの生の声を、さまざまな場面ですくい取っている岡田さん。今回の文庫に収められたエッセイは、トランプ大統領誕生前だが、いまにつながっている米国市民の息遣いが聞こえてくる。

黒木瞳さんとの対談も収録

 ニューヨーカーのいいところばかりを取り上げているわけではなく、エッセイといっても、自分が置かれている日常とは違う日常を味わいたいという読者には、小説のように読める感じがいい、という雰囲気もあるようだ。 そして、今回の文庫では、本編とは別に、二つの仕掛けがある。ひとつは題名にある通り、「魔法にかかる方法」についての章。これはニューヨークに限らず、どこかの町で「魔法にかかるコミュニケーションの方法」を筆者が伝授するというもの。「世界は、魔法で満ちている。ほんの少しの勇気で、隠れた魔法は動き出す」という文章は帯にも採用されている。

 もうひとつが、女優の黒木瞳さんとの対談。同年齢の二人が、ラジオで語り合ったことを収録したものだが、アメリカと日本では、見知らぬ人たち同士のコミュニケーションが違うことや、岡田さんがエッセイを書く上での秘密なども語られている。

 岡田さんは、J-CASTニュースの読者に向けて「『トランプのアメリカ』で暮らす人たちとは、ちょっと違った岡田ワールドを、小粋な英語のフレーズとともに味わっていただければ幸いです」とメッセージを寄せている。

  • 書名 ニューヨークの魔法のかかり方
  • 監修・編集・著者名岡田光世 著
  • 出版社名文藝春秋
  • 出版年月日2017年12月12日
  • 定価本体830円+税
  • 判型・ページ数文庫・240ページ
  • ISBN9784167909895

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