読むべき本、見逃していない?

「生まれながらのテロリストはいない」

  • 書名 ぼくは13歳、任務は自爆テロ。
  • サブタイトルテロと戦争をなくすために必要なこと
  • 監修・編集・著者名永井陽右 著
  • 出版社名合同出版
  • 出版年月日2017年9月 1日
  • 定価本体1400円+税
  • 判型・ページ数A5判・141ページ
  • ISBN9784772613095
BOOKウォッチ編集部コメント

 とてつもない若者がいるものだ。本書『ぼくは13歳、任務は自爆テロ。――テロと戦争をなくすために必要なこと』(合同出版)を読んでの感想だ。すでにあちこちで紹介されているから、ご存知の人も多いことだろう。著者の永井陽右さんのことである。

 1991年生まれ。早稲田大学教育学部を経て、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの紛争研究修士課程を卒業している。

難民居住区に入り込む

 スゴイのはもちろん学歴ではない。永井さんは高校時代にルワンダのジェノサイドを知って関心を持ち、大学1年のとき、実態を知るため現地に行く。ルワンダはすでに平穏を取り戻していたが、帰途のケニアで多数のソマリア難民を目の当たりにした。「無謀にも」ケニアのソマリア難民居住区に入り込み、そこで若者たちがギャングになったり、過激派組織アル・シャバーブにリクルートされたりしている現実を知る。日本に帰ってすぐに「日本ソマリア青年機構」を立ち上げた。

 ソマリアは世界最悪の紛争地として知られる。ケニアやエチオピアと国境を接し、アフリカの角とも呼ばれている。他のアフリカの紛争国と同じように、政権内部の権力争いや民族間の対立のこじれによって、統治が破たんし、武装化した氏族が割拠、30年以上も内戦が続く。この間に飢餓で多数が亡くなり、100万人以上の難民が国外に出た。近年はアルカイダと連携する過激派アル・シャバーブが支持を広げて武装闘争を繰り広げ、現在も南部ソマリアの大半を支配下に置く。

 世界で最も大変な状況にある国だということを知った永井さんは、せめて子供たちのために何かできないかと考え、早稲田大学に留学していたソマリア人の戦争孤児らに声をかけ、支援活動を始める。

 さらに永井さんは直接、現地に行って若者たちを支援できないかと考える。国際支援を行っている機関やNGOに問い合わせるが、「ソマリアだけは手を出せない」。しかしロンドンの大学院を卒業し、テロ対策の知識を身に着けた永井さんは、現地に入り込み、まずギャングになった若者の更生を始める。そしてテロリストに声をかけられている若者たちにもアプローチする。

途上国の子供たちの現実

 ソマリアがどれほど日本の常識とかけ離れているところか。それは永井さんがソマリアに入り、移動するときの様子からもうかがえる。防弾ガラスの四輪駆動車。荷台にはサブマシンガンを構えた6人。車内の永井さんの隣にはサブマシンガンとピストルを持った屈強な元アメリカ軍兵士。首都にある主要なホテルはたいがい自前で民兵を雇って警備しているという。それでも大量の火薬を積んだ車が突っ込む自爆テロが起きている。

 永井さんは「生まれながらのテロリストはいない」と書いている。17年には新たにテロを止めて紛争の解決をめざす「アクセプト・インターナショナル」を立ち上げている。これまでの活動ぶりが評価され、すでに第28回人間力大賞などを受賞している。

 版元の合同出版では『ぼくは12歳、路上で暮らしはじめたわけ。――私には何ができますか? その悲しみがなくなる日を夢見て』、『わたしは13歳、学校に行けずに花嫁になる。―― 未来をうばわれる2億人の女の子たち』、『わたし8歳、カカオ畑で働きつづけて。――児童労働者とよばれる2億1800万人の子どもたち』、『わたしは 10 歳、本を知らずに育ったの。――アジアの子どもたちに届けられた27万冊の本』など、途上国の子供たちの悲惨さを訴える本を出し続けている。こういう本づくりに使命感を持つ、熱心な編集者がいるのだろう。

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