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10代の文学女子9人が書いた官能小説

19歳のポルノグラフィ

 本書『19歳のポルノグラフィ』(幻冬舎、2018年)は、山形市にある東北芸術工科大学芸術学部文芸学科で作家の山川健一氏が担当するゼミの女子学生による、9つの官能短編小説が収められている。創作当時は大学1、2年生だった。

 山川氏が女子学生から「ポルノの雑誌を作りたい」との相談を受けたのがきっかけだ。顧問になって、電子書籍として刊行することを目標に短編原稿を集め始めた。山川氏が、長年付き合いのある幻冬舎社長の見城徹氏に原稿を見せると、「面白いから、ぜひ紙の書籍として刊行を」と話が進んだという。

 本書のタイトルにある「19歳」は、山川氏のエッセイ『みんな19歳だった』(講談社)に因んでいて、「19歳が内面的にピークを迎える」との意味が込められている。著者の木村風香さんと川村樹澄さんに、なぜポルノを書くことにしたのか聞いてみた。

 もともと恋愛小説を書いていたという木村さんは、本書は恋愛小説の一部を構成する性的なシーンに重きを置いているだけであり、ポルノを書くことへの抵抗はなかったという。「リアルに書きたかった。作品が本の形になることで、文学としてのエロを発信できた。自分の書いているものが文学であるという、自信を持てた」と語る。

 作品数が多くないという川村さんは、とにかく何かを書きたいと思い、本書の企画に参加したという。時代小説を書きたいと思っていて、そのためには性的なシーンを書く経験も必要だろう、と考えたという。「作品を褒められる方が嬉しいけど、拙いこともわかっている。酷評でもいいので、多くの方々から感想をいただく機会になれば」と話す。

 「スモーキー・オーガズム」(相澤茉利奈)は、高校教師と生徒の許されない関係を描く。「シーツの波」(木村風香)は、彼の左耳のピアスがきらりと光る度に、元カノへの嫉妬に私の心は波立つ。「エクレア」(船渡奏子)は、カフェでエクレアを咥える少女に目を奪われ、僕は興奮を抑えられなくなる。「嫉妬愛」(川村樹澄)は、部室の鍵をかけ忘れたまま行為をしている最中、男子生徒と目が合う・・・言葉で表現することは難しいように思われる男女の性について、克明に描写されている。

 あとがきで、本書の企画・編集を担当した文芸学科3年の江宮遥さんは、「今まで書いたことのないポルノグラフィというジャンルに苦戦」「世間に染まらずまだ色を持たない創作者が、一人でも多くの人の心に自分の言葉を残すことを祈り描いた世界」と記している。

 本書は、10代後半の感性に触れる貴重な機会を与えてくれる。書くことに対して、試行錯誤をしながら、真摯に向き合う彼女たちの熱が感じとれる。

BOOKウォッチ編集部 Yukako)
  • 書名 19歳のポルノグラフィ
  • 監修・編集・著者名塩野 秋 相澤 茉利奈 木村 風香 武田 真子 船渡 奏子 遠野 花香 唯乃 夢可 飯田 みのり 川村 樹澄 著
  • 出版社名発行 京都造形芸術大学 東北芸術工科大学 出版局 藝術学舎 / 発売 株式会社幻冬舎
  • 出版年月日2018年2月15日
  • 定価本体1200円+税
  • 判型・ページ数B6判・233ページ
  • ISBN9784344953352
 

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