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日本のビッグマック、高いの?

訪日外国人からの評判を高める飲食店の対策集

 至れり尽くせりの本だ。タイトルを見ただけでもわかる。『訪日外国人からの評判を高める飲食店の対策集』。おまけに「英語ができなくてもできる!」というキャッチがついているから、ますます助かる。

 出版元の旭屋出版は雑誌「近代食堂」など、料理と食の本を専門に出している出版社。増える訪日観光客にどう対応するか、悩んでいる飲食関係者には格好のサポート本になりそうだ。

大きなハードル、外国語

 訪日外国人はこのところ年に20%以上も増え続け、2017年には年間2800万人を突破した。東京や大阪、京都などの大都市だけでなく、もはや日本のあちこちに外国人観光客があふれている。彼らの大いなる関心事は日本で何を食べるか。日本人が外国に行った時と同じだ。

 とりわけ日本は、一般的な食事代がさほど高くないといわれている。本書の中にビッグマックの世界各地の料金表が、ドル換算で掲載されている。それによると、アメリカ5.28ドル、シンガポール4.39ドル、韓国4.12ドル、タイ3.72ドル、日本が3.43ドル、中国3.17ドル。ものにもよるが、他の外食も相対的に高くないのが日本、ということか。衛生状態、品質管理も優れている。だから外国人旅行客の約7割は「本場の日本食を楽しみたい」と言う希望を持っているという。

 ところが日本の食堂の大きなハードルになっているのが外国語。メニューに外国語表記がないところがほとんどだ。そこで本書の出番となる。

著者の堀田実希さんは1986年生まれ。南山大学のアジア学科を出て、インドネシアの邦字紙に勤めていた。帰国後は英語やインドネシア語の通訳のかたわら、外国人誘客のコンサルタントをしている。

初級レベルから中上級編まで盛りだくさん

 本書の冒頭では、「インバウンド」「ハッシュタグ」「インンフルエンサー」など本書内によく出て来る用語が丁寧に解説されている。このあたり、とても親切。さらに本文ではメニュー表の作り方、WEB集客のコツ、などが順に説明されている。欧米に多いベジタリアン対策や、インドネシア経験を生かして、イスラム教徒対応も詳しい。「お通し」や「持ち込み不可」など、外国人客が戸惑いがちな日本ルールについても、目配りされている。全体として、初級レベルから、中上級編の内容まで盛りだくさんだ。

 実際にホテルチェーンで、外国人相手の対策をしたことがある経験者に本書を読んでもらって感想を聞いたところ、「書いてあることはその通り」。実際にやるのがなかなか大変なのだという。現場には余裕もスキルもない。誰かしっかりした能力の高い人が指導し管理する必要がある。とくにベジタリアン、ハラール関係は難しいという。

 本書には、「外国人観光客に対する接客で、 優先したいのは英会話よりも柔軟性とウエルカム姿勢」とあるが、そもそも、そういう有能な人材が採用できなくて悩んでいるとのことだった。

  • 書名 訪日外国人からの評判を高める飲食店の対策集
  • サブタイトル英語ができなくてもできる!
  • 監修・編集・著者名堀田実希 (著)
  • 出版社名旭屋出版
  • 出版年月日2018年5月17日
  • 定価本体1800円+税
  • 判型・ページ数四六判・239ページ
  • ISBN9784751113172
 

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