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コンビニでは「ニュース」をタダで売っている!

  • 書名 「ニュース」は生き残るか
  • サブタイトルメディアビジネスの未来を探る
  • 監修・編集・著者名早稲田大学メディア文化研究所 (著、編集)
  • 出版社名一藝社
  • 出版年月日2018年6月22日
  • 定価本体2000円+税
  • 判型・ページ数A5判・184ページ
  • ISBN9784863591752
BOOKウォッチ編集部コメント

 都会では自殺する若者が増えている。朝刊の片すみにそう書いてあった。井上陽水さんが新聞記事をヒントにするかたちで、名曲「傘がない」を歌ったのは1972年のことだ。今の歌手なら、何で情報を知るのだろうか。ネットニュースか、それともSNSか。

 本書『「ニュース」は生き残るか――メディアビジネスの未来を探る』(一藝社)は、新聞がビジネスとして衰退し、若者のテレビ離れも指摘される中で、メディアがこれからどうなっていくのか探ったものだ。早稲田大学メディア文化研究所編。

「危ない新聞社」が少なくない

 じっさいのところ、新聞社の苦境はこれまでにもさんざん書かれている。部数が減った、広告が落ちた、大学生の就職人気ランキングでも、かつてはベストテンの常連だったのに、いまや100番外・・・。本欄でもすでに『新聞社崩壊』を紹介ずみだ。2025年には新聞全体の部数が3割減り、営業利益はマイナス2割になると予測し、「危ない新聞社」が少なくないことを指摘していた。

 編者の早稲田大学メディア文化研究所は2003年の創設。本書では、近年の激変するメディア環境に合わせて、ネットやSNSとの関係を重視しながら論をすすめる。

 第1章「激変するニュース環境」では「ネットに移行するニュース消費」「ニュースメディアの構造転換」、第2章「瓦解するビジネスモデル」では、「マスメディアからネットメディアへ」「栄華をきわめた新聞の限界」「広告業界の発展と曲がり角」などなど。さらに第3章「ニュースメディアの経営論」、第4章「ニュースメディアの課題」と続く。細かいデータは別として、国内における大筋の流れはそのとおりであり、ほぼ既報と言えるだろう。

海外では新しい取り組みも

 興味深いのは海外の新しい動きだ。第5章「メディアビジネスの未来」で紹介されている。まずニューヨーク・タイムズの起死回生。2011年に本体サイト「NYTデジタル」を有料化、15年には100万人の大台に乗せた。17年末には223万人。英語で海外読者も獲得できる強みだろう。

 このほか「ニュースの再構築」として海外の新しい取り組みも紹介されている。それらのアイデアのいくつかはすでに日本でも部分的に採用されつつある。

 はたして紙のニュースは生き残れるのか。とにかくネット優位は加速するばかり。とりわけニュースの大手ポータルサイトは強い。本書はコンビニに例える。商品を超安価で仕入れて、消費者にはタダで売っている格好だ。それでも儲かる仕組みが出来上がっている。

 とはいえ並べた商品に欠陥があれば、騒動になる。その代表例がディー・エヌ・エーの医療情報まとめサイト「WELQ」問題だ。本書でも触れられている。ネット関係者ならだれでも知っていることだが、その余波はかなり深刻。緊張感が広がり、水面下で様々な動きが出ている。今後のネットニュースのあり方を占ううえでは要注意だ。「品質」を重視してきた新聞などの旧メディアと、アクセス数という営業重視で突進してきた新メディアとのずれが表面化した象徴的な例だった。このあたりはもう少し書き込んでもよかったかもしれない。

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