読むべき本、見逃していない?

もしもドラッカーが「お寺」のマネージャーだったら・・・

  • 書名 「定年後」はお寺が居場所
  • 監修・編集・著者名星野 哲 著
  • 出版社名集英社
  • 出版年月日2018年7月13日
  • 定価本体780円+税
  • 判型・ページ数新書・192ページ
  • ISBN9784087210422

 お寺やお坊さんが悩んでいるという。檀家が減り、核家族化が進んで法事も地味になって寺離れが進んでいるからだ。『月刊住職』などの専門誌でも「経営難」がしばしば取り上げられている。

 そんな折に本書『「定年後」はお寺が居場所 』(集英社新書)が出た。お寺にはまだまだ可能性がある、こんな時代だからこそできることがあるという。本書を読めば、悩めるお坊さんも元気が湧いてくるかもしれない。

お寺にとっては心強い応援団

 結婚相手を見つける。子育ての辛さを共有する。夕食をみんなで食べる。再就職のためのスキルを身につける。おしゃべりをしに行く。「墓友」に出会う、最期を看取ってもらう・・・全部、お寺でできる!というのが本書のキャッチだ。

 著者の星野哲さんは立教大学社会デザイン研究所研究員。朝日新聞記者時代から墓や葬儀の変化を通して見える家族や社会の変質に興味を抱き、『「葬送流転 人は弔い、弔われ」』『終活難民 あなたは誰に送ってもらえますか』などを出版。16年に独立し研究員になってからもすでに『遺贈寄付 最期のお金の活かし方』を出している。

 終活、すなわち人生のエンディングを社会でどう支えるか。著者は社会的リソースとして寺院の役割に着目する。「地域コミュニティ再生の鍵」をお寺が握っていると考え、積極的な提言を続けている。お寺にとっては心強い応援団と言える。

 著者のイメージする「新しい時代のお寺」とは、今の時代を生きる人々に深く関わるお寺だ。記者時代からの情報網と行動力を生かして、本書では全国の「元気なお寺」「元気なお坊さん」を訪ねて紹介している。

お寺は生きている人のためにある

 日本一若者が集まる「劇場」寺院(大阪市・應典院)、お寺が主催の婚活「寺コン」(吉縁会)、子育ての悩みを共有(京都市・東光寺)、 貧困の子どものために寺子屋を(名古屋市・性高院)、「子どもの寺」として里子を育てる(和歌山県伊都郡かつらぎ町・童楽寺)、あなたのお話お聴きします(東京都港区・正山寺)、中高年の「生きがい」支える(石川県金沢市・乗圓寺)、引き取り手のない遺体を葬儀・埋葬(群馬県館林市・源清寺)、宿坊で過疎地を支えたい(鳥取県八頭郡八頭町・光澤寺)、魚売るのも僧侶の仕事(千葉県勝浦市・妙海寺)、檀家の支えでグループホーム運営(大阪府池田市・如来寺)・・・。意欲的な試みを続けているお寺がこれでもかというほど次々と登場する。

 世のなかで孤立している人は少なくない。共同体の崩壊で、むしろ増えているだろう。お寺は生きている人のためにある、というのが著者の主張だ。地域に「開かれたお寺」として再構築できるか――たしかにそれこそが「お寺再生」の鍵だろう。

 経営学者のP・F・ドラッカーは、著書『非営利組織の経営』の日本語版の序文で、 「最古の非営利組織(NPO)は日本にある。日本の寺は自治的だった。もちろん非営利だった」と、述べているという。そういえばかつて寺が「アジール」になったりもした。「縁切寺」「駆け込み寺」などというのもあった。現代社会の「アジール」として、寺に期待されている役割はまだまだあるといえる。

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