読むべき本、見逃していない?

「自分の声」が嫌いでは相手の心はつかめないですよ

  • 書名 声のサイエンス
  • サブタイトルあの人の声は、なぜ心を揺さぶるのか
  • 監修・編集・著者名山﨑 広子 著
  • 出版社名NHK出版
  • 出版年月日2018年4月10日
  • 定価本体820円+税
  • 判型・ページ数新書・256ページ
  • ISBN9784140885482
BOOKウォッチ編集部コメント

 ユーミンこと松任谷由実さんが40年以上にわたって音楽シーンの第一線で活躍しているのも、B'zの稲葉浩志さんやドリームズ・カム・トゥルー(ドリカム)の吉田美和さんがパワーある歌声を維持しているのも、自分の声を受け入れ、磨きをかける努力を怠らないから。本書『声のサイエンス』(NHK出版)によれば、声には実は絶大な力が秘められており、わたしたちでも、自分の声を知り、その力を引き出すようにすれば、心身の改善にも効果があるという。

「脳が出したい声」じゃないから

 著者の山﨑広子さんは音楽・音声ジャーナリスト。国立音楽大学卒業後、複数の大学で心理学・音声学を学んだのち、認知心理学をベースに人間の心身への音声の影響を研究している。

 山﨑さんが行った調査によると、80%の人が「自分の声を嫌い」と回答し、その後の別の調査で、自分の声を録音して聴いたことがある人に尋ねたところ、同じ答えの割合が90%を超えたという。

 「声を作るのは脳。自分の声が嫌いな8割の人は、脳が嫌いにさせているといえるでしょう。それは『脳が出したい声』ではないから」と著者。そして、本書のテーマを、脳が望む声にすることに定めたという。自分が嫌いな声で話していては、話す内容が相手に届く可能性が低くするばかり。誠意を込めて話しているのに相手に伝わらないことがある一方、聞く側になったときに、内容はたいしたことがないのに妙に納得してしまう。著者によればそれは、声で心が動かされることがあるから。それこそが「脳が出したい声」だ。

まずは自分の声を知る

 声は耳から入って大脳の聴覚野を通り言葉を理解する言語野に送られる。言語野は大脳の新皮質に人間の進化の過程できたもの。知的領域を担う場所だ。音も脳内に同時に入り、大脳のもっと深いところにある旧皮質を刺激する。旧皮質は人間の進化の初期段階にできたもので、危険の察知や、快・不快を判断。つまり音について「心地よい、悪い、好き、嫌い」の感情を起こさせる。

 声を形成する要素のうち、生まれ持った体格や骨格、声帯のながさなど、いわゆる先天的なものは2割ほどで、8割は生育環境や性格、そのときの心身の状態が占める。聞く相手は、聴覚と脳でそれらすべを受け取っており、話し手のかなりの要素を読み取ることができるという。自信なく発せられた声は、相手の拒否反応にあう可能性が高い。

 メディアの影響力の研究が進む米国では、各界のリーダーたちを中心に声や話し方に対する意識は高く、1960年の大統領選挙で、ジョン・F・ケネディが、初の試みとして行われたテレビ討論で聞かせ方、見せ方に戦略的演出を施し、リチャード・ニクソンに逆転勝利したことがよく知られている。著者は、日本の社会では、学校でも家庭でも自己表現を学べる機会少ないことを指摘。自分の声を嫌いと考えたり、人前で話すことが苦手に思う人が多い原因ではないかという。

 「自分の声を知ることからすべては始まる」と著者。まずは、ふだんの自分の声を録音し聴いてみる。「話しながら自分の耳で聞いている声は、空気を通して聞こえる気導音と骨導音がプラスされているから、気導音である録音した声の方が他人に聞かせているあなたの声に近い」。再生すると、自分の声と信じられないと感じてもまずは客観的に知ることから始めなければならないという。

 嫌いだと思った声のなかにも、そのうち「あの声はいやじゃない」と思う声があるはずと著者。そして「いいな」と思った声を何度も聞く。その声を記憶させ、それを思い出しながらあらためて録音し聞く。こうした作業を行うことで、いいと思う声を意識し、脳にフィードバックさせることで「脳が出したい声」を手に入れることができる。そのあかつきには「あなたの身ひとつで人に思いを伝え、人の心を動かし、そして自分自身を心身から変えていくことができる」という。

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