読むべき本、見逃していない?

魚屋さんが生魚を必ず水で洗う理由・・・知ってますよね

  • 書名 寿司サムライが行く!
  • サブタイトルトップ寿司職人が世界を回り歩いて見てきた
  • 監修・編集・著者名小川 洋利 著
  • 出版社名キーステージ21
  • 出版年月日2018年4月15日
  • 定価本体1500円+税
  • 判型・ページ数四六判・206ページ
  • ISBN9784904933114
BOOKウォッチ編集部コメント

 テレビで見たことがある人が多いだろう。日本の寿司職人が素人のふりをして、海外の寿司店で働き、ある日、覆面で登場して本当の寿司の握り方を教えて拍手喝采、というあの番組だ。

 その主人公、覆面の寿司職人こと「寿司サムライ」が、本書の著者の小川洋利さんだ。テレビでは放送されない裏話や苦労話を、たっぷり明かしている。

まるで保健所の人

 まず驚くのは、小川さんの「衛生」についての知識だ。まるで保健所の人かと思うほど。なぜかといえば、日本と海外では「生魚」についての常識が異なる。海外では刺身を食べたことがない人が「SUSHI」を握っている。だからすでに腐りかけている魚を平気で握っていることもある。

 日本の市場や魚屋、調理場ではなぜ魚を真水で洗うのか。魚には腸炎ビブリオ菌が付着しているからだ。この菌は真水に弱いからだ。

 ところが一方で、手についている細菌は水が大好き。10度から65度の温度でバクテリア菌が繁殖する。そこで寿司職人は手に酢をつけて握る。酢はPH2.0から3.0の酸性なので殺菌作用がある。なぜ笹に盛るかといえば、笹にはサルチル酸という成分があってこちらも殺菌作用があるから。わさびを使うのもやはり殺菌効果があるからだ。

 SUSHIは近年、世界的なブーム。海外の寿司店も、2013年には約5万店だったが17年には11万店に急成長している。ところがその内実は、日本の寿司店の常識とは相当に異なる。インドでは水を使わない市場が少なくないし、東南アジアでは40度を超える炎天下で魚を売っている。魚は加熱して食べるというのが常識なので、冷蔵するという観念自体がない。欧米のSUSHIレストランの調理場の奥で実際に握っているのは、魚についての知識が異なるアフリカや中南米からの移民だったりする。

 当然ながら食中毒も増えているという。対策としてアメリカの一部ではポリ手袋の着用が法律で義務付けられている。刺身はいったん冷凍しないと出せなくなったり、さらには木製のまな板、しゃもじ、取っ手が木の包丁も使えなくなったりしているところもあるそうだ。

100円包丁も使いよう

 日本の寿司店で食中毒が少ないことからもわかるように、こうした海外の食中毒防止対策は、日本の習慣とはずれている。繰り返しになるが。それは魚を扱う常識の違いによる。そこで正しい寿司知識、技術の向上を目指して、小川さんは世界を駆け回っている。「国際すし知識認証協会理事」「全国すし連 すし知識海外認証制度認定講師」というのが現在の小川さんの肩書だ。すでに世界40か国以上を駆け巡ったという。

 本書は日本の寿司の伝統と歴史から、世界の「SUSHI」最新事情まで極めて盛りだくさん。剣道少年だった小川さんがなぜ寿司職人になり、海外普及に力を入れることになったか、一代記も書き込まれている。

 日本の普通の読者にとって興味深いことを二つ。包丁は100円ショップで買うものでも十分だという。なぜならどんなに高い包丁でも研がないと切れが落ちる。どうせ包丁を研がないのなら、短期間で100円包丁を買い替えればいいという。

 もう一つは寿司に不可欠の卵焼き。焼いてから、魚を触った手で、そろそろ冷めたかと思ってまだ温かさの残る卵焼きを指で押すのはよくない。一気にバクテリア菌が増殖する。日本の寿司店で最も多い食中毒は卵焼きなのだという。

 ほかにもアッと驚く新鮮なネタや、仕込みに時間をかけたネタが次々と出てくる。とにかく寿司サムライの番組以上にびっくりし、楽しく読めて知識が増えること請け合いだ。

オンライン書店で詳しく見る(購入もできます)

デイリーBOOKウォッチの一覧

一覧をみる >

アクセスランキング

DAILY
WEEKLY

当サイトご覧の皆様!

おすすめの本を教えてください。
本のリクエスト承ります!

出版社の皆様!

御社の書籍も、
BOOKウォッチに
掲載してみませんか?

sub