読むべき本、見逃していない?

地球の土は12種類しかない!

  • 書名 土 地球最後のナゾ
  • サブタイトル100億人を養う土壌を求めて
  • 監修・編集・著者名藤井 一至 著
  • 出版社名光文社
  • 出版年月日2018年8月18日
  • 定価本体920円+税
  • 判型・ページ数新書・224ページ
  • ISBN9784334043681
BOOKウォッチ編集部コメント

 何年か前、NASA(米航空宇宙局)が火星の土を再現した土壌を使った作物栽培に成功したと伝えられた。これを聞いた日本の土の研究者が歯噛みして、地球の土の頑張りを忘れてもらっちゃ困ると考え、本書『土 地球最後のナゾ』(光文社)を世に問うことになったという。

「100億人を養う土壌」探すミッション

 著者の藤井一至(かずみち)さんは土の専門家であり、林野庁所管の国立研究開発法人「森林研究・整備機構」の組織の一つ、森林総合研究所(茨城県つくば市)に主任研究員として勤務している。NASAで宇宙を対象にした研究者に比べれば、その扱いに「雲泥の差がある」そうで、自虐のなかで研究生活を送っているが、人間がまず食べていかねばならない場所は火星じゃなくて地球でしょ―と「100億人を養ってくれる肥沃な土を探すため」という大きな目的があり、自虐は実はその達成のためのバネらしい。

 土の研究とは確かに地味な学問だ。多くの人は特に意識もせずに接しているだろうし、アスファルトやコンクリートに覆われた都会では接する機会がほとんどないかもしれない。作物を育てるにも水耕栽培など「土」を使わないことが先端的ともとらえられる時代。「100億人を養う土壌」を見つけ出すことができるのか。

 世界の人口は70億人を突破したところで、21世紀中に100億人に達するといみられている。著者によれば、砂漠化により人口増に反比例して1人当たりの畑に必要な土が減り「食いしん坊の直感」ではあるが、一大事になるという。「100億人が、なによりも自分がお腹いっぱいに食べていくには、どうすればよいのか。100億人分の肥沃な土を見つけるしかない」

すべて制す「土のグランドスラム」に挑戦

 本書では、その「肥沃な土を見つける」旅のもようも綴られる。地球上の土の種類は意外に少なく、12種類に分類される。泥炭土、ポドゾル、チェルノーゼム(黒土)、粘土集積土壌、永久凍土、若手土壌、砂漠土、未熟土、オキシソル、ひび割れ粘土質土壌、強風化赤黄色土、黒ぼく土...。

 ポドゾルは北欧に多くブルーベリーを産む。強風化赤黄色土が多いのはアジアの熱帯林。ウコンが育ちカレーが親しまれる。アフリカなどの砂漠土はお好み焼きのソースの素ナツメヤシに適している。

 これら12種類の土をすべて見たい、と「土のグランドスラム」に挑戦する著者。だが、ただ出かけていって掘ればいいというものじゃない。長靴やスコップだけじゃもちろん足りず、一定の機器を用意しなきゃならないときもあったが、現地に届いたのはスコップだけというときも。スコップを飛行機内に持ち込むことすら大変なのだという。

 地元への連絡、事前の許可取りを怠ると大変だ。「業務として土を掘っているのに、通報され、職務質問を受けることすらある。やましいところは一切なく、土を掘るのを仕事にしている。何を好き好んで土なんて掘っているのかと思われるかもしれない」

 世界の12種類の土のなかで、最も多くの人口を養うのが「黒ぼく土」という。そしてこの「黒ぼく土」は日本の土壌の特徴。火山性の土壌で、夏に蒸す日本の気候では落ち葉により腐葉土をつくりだす。その作用で黒くなるのは肥沃な証拠でもあるという。

 予算が豊富とはいえない研究者のグランドスラム旅行。そのアドベンチャーを読んでハラハラ、ドキドキを楽しみながら世界の土壌を学べるおトク(?)な一冊。

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