読むべき本、見逃していない?

私たちも「プラスチックゴミ」を食べている

  • 書名 クジラのおなかからプラスチック
  • 監修・編集・著者名保坂 直紀 著
  • 出版社名旬報社
  • 出版年月日2018年12月11日
  • 定価本体1400円+税
  • 判型・ページ数四六判・162ページ
  • ISBN9784845115662

 プラスチックに関係するニュースが増えてきた。2018年11月には、インドネシアでマッコウクジラの死骸の胃から、プラスチック製のカップ115個とポリ袋25枚など、6キロ近くのプラスチックごみが見つかった。

 同じような話は6月にもあった。タイの海岸に打ち上げられたクジラの胃から80枚を超えるプラスチックの袋が出てきた。重さは何と8キロもあったという。

アフリカゾウ14億頭分

 あの巨大なクジラが、何とも簡単に、私たちが普段から使っているレジ袋などを飲み込んで死んでしまう。人間にとって便利な袋が、クジラにとってはある種の凶器に早変わりする。そんな時代に生きているということを改めて知らされる。

 本書『クジラのおなかからプラスチック』(旬報社)は極めてタイムリーな一冊だ。話題の「海洋プラスチックごみ問題」がいちばんよくわかる本!というキャッチコピーが付いている。

 著者の保坂直紀さんは東京大学理学部地球物理学科卒業。同大大学院で海洋物理学を専攻。1985年読売新聞社に入社。おもに科学報道にたずさわる。そのせいか、文章がわかりやすい。東京大学海洋アライアンス上席主幹研究員を経て現在はサイエンスライターとして、海洋や気象、環境問題などをテーマに執筆している。著書に『謎解き・海洋と大気の物理』『謎解き・津波と波浪の物理』『びっくり! 地球46億年史』『海まるごと大研究』(講談社)、『これは異常気象なのか?』『やさしく解説 地球温暖化』(岩崎書店)などがある。

 プラスチックは19世紀半ばに発明され、20世紀になって広まった。今やプラスチックなしの生活は想像できない。スーパーのレジ袋、食品の包装材料、ペットボトルと何でもかんでもプラスチックだ。これまでに生産された総量は地球上で83億トンと推定されている。アフリカゾウ14億頭分だという。

木製ストローが開発された

 使い終わってごみになったプラスチックは、埋めたり、燃やしたり、リサイクルしたりする必要があるが、実態として生産量の1.7~4.6%が海に流れ込んでいるという。プラスチックごみは、2050年に海の魚の重量を超えるといわれるそうだ。

 ただ海を浮遊しているだけではない。クジラの例のように、それらが海の生き物を苦しめている。クラゲなどの餌ではないかと思って飲み込んだりする。

 特に最近問題になっているのがマイクロプラスチックだ。大きさが5ミリ以下の微小なプラスチック。こちらはプランクトンと間違われて、魚が呑み込んでしまう。東京湾のカタクチイワシの8割から見つかっている。食物連鎖でさらに大きな魚に吸収されるから、いつの間にか私たちもマイクロプラスチックを食べていることになる。

 G7では2018年6月、「海洋プラスチック憲章」をまとめ、自国でのプラスチックごみの削減に向けて動き出した。残念ながら日本と米国は署名していないそうだ。

 世界的な企業の取り組みも目立ち始めた。すでにスターバックスは、2020年には使い捨てのストローを止めると発表した。マクドナルドも紙製のストローへの転換を模索しているそうだ。日本では木製のストローが開発されたというニュースもあった。

 本書は文字が大きく、写真やイラスト、地図も豊富。小中学校の図書館にはぜひ置いておいておきたい一冊だ。

 本欄では類書として、『えっ! そうなの?! 私たちを包み込む化学物質』(コロナ社)、『美しい海の浮遊生物図鑑』(文一総合出版)なども紹介している。

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