読むべき本、見逃していない?

有料料金を払ってでも座りたい 関西の鉄道客も変わったもんだ

  • 書名 関西圏鉄道事情大研究 ライバル鉄道篇
  • 監修・編集・著者名川島令三 著
  • 出版社名草思社
  • 出版年月日2019年1月31日
  • 定価本体1600円+税
  • 判型・ページ数四六判・238ページ
  • ISBN9784794223722

 およそ鉄ちゃん(鉄道ファン)を自認する者で、川島令三さんを知らない人はいないだろう。『全国鉄道事情大研究』シリーズをはじめ、多くの鉄道本を書き、ときにテレビにコメントを求められ登場することもある筋金入りの「鉄」だ。

 1992年の『神戸篇』で刊行が始まった『全国鉄道事情大研究』シリーズは、東北新幹線とミニ新幹線が走る奥羽本線などを取り上げた『東北・西部篇』を以て全30巻が27年かけて完結したばかり。この後、川島さんはどうするのだろう? と心配した評者がバカだった。間髪おかず本書『関西圏鉄道事情大研究 ライバル鉄道篇』(草思社)を刊行、3月16日(2019年)のダイヤ改正で北部区間(新大阪-放出)が開通し、全通したばかりのJR「おおさか東線」についてもダイヤをさっそく検討し、「久宝寺-桜島間運転の快速を終日運転するほうがいい。停車駅はJR河内永和、高井田中央、放出、JR淡路、新大阪、西九条、ユニバーサルシティとし、運転間隔は30分がいいだろう」と具体的に提案。「おおさか東線は近鉄・阪神にとって脅威になる?」と分析している。

 『ライバル鉄道篇』とうたっているだけに、京阪間、阪神間、大阪・宝塚間、阪奈間などJRと私鉄、さらに私鉄同士が激しく競っている関西圏の鉄道路線をそれぞれ分析。その上で、各線ごとに下記のような提案をしている。

・JR京都線 京都-高槻間の各停の増発を
・阪急京都線 特急があって急行がないのは変である
・京阪本線 宇治-三条間に直通急行の運転を
・JR神戸線 芦屋駅で新快速と各停の接続を
・阪急神戸線 JRに対抗するには昼間時の特急は7分30秒毎に運転すべきである
・阪神本線 近鉄特急の本線直通を早期に実現を

 総論としては、「便利になったけれど遅くなっている関西の路線」「混んでいる新快速を嫌って並行する私鉄に乗る人が増えてきた」「運賃がJRよりも安いので指定席料金をプラスして対抗する関西私鉄」など最近の傾向を指摘している。

 川島さんの提案は時に「そんな夢みたいなこと実現するの?」とその理想ぶりや革新性が揶揄されることもあったが、全国では川島さんの提案を鉄道事業者が取り入れ、実現した例も少なくない。徹底して利用者目線に立った川島さんのプランがこれからも実現することを期待したい。

関西の新線開通、目白押し

 本書の姉妹編『関西圏鉄道事情大研究 将来篇』の目次もすでに明らかになっている。今後開通する地下鉄「なにわ筋線」について「なにわ筋の開通で環状線電車に邪魔されずに思いっきり走れる」と予告している。

 関西圏では、この他に阪急北梅田・十三・新大阪連絡線、大阪メトロ中央線夢洲延伸、北大阪急行電鉄延伸、大阪モノレール線瓜生堂延伸など新線の開通が目白押しだ。首都圏よりも関西圏の鉄道に新規プロジェクトが多いような気がする。

 省線、国鉄、JRと歴史的に「官」の鉄道が中心だった首都圏に対して、関西圏は私鉄が都市間輸送の担い手だった。そして国鉄がJRとなり、なりふりかまわず競争に参戦、はげしい誘客競争が続いている。

 JR西日本は3月のダイヤ改正で、「座れない」と不評の新快速に一日4本だが、有料座席のAシート車を連結するようになった。かつてグリーン車を連結したものの、がらがらで廃止した経緯がある関西圏。お金を出してサービスを買うように利用者も変わったのだろう。

 鉄道関連本として、『そうだったのか、路面電車』(交通新聞社)、『あの映画に、この鉄道』(キネマ旬報社)『電車たちの「第二の人生」』、(交通新聞社)などを紹介済みだ。   

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