読むべき本、見逃していない?

25年後、秋田県民の3人に1人は「後期高齢者」

  • 書名 未来の地図帳
  • サブタイトル人口減少日本で各地に起きること
  • 監修・編集・著者名河合雅司 著
  • 出版社名講談社
  • 出版年月日2019年6月20日
  • 定価本体860円+税
  • 判型・ページ数新書判・270ページ
  • ISBN9784065160893

 6月19日(2019年)の朝日新聞朝刊3面を見て驚いた。本書『未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること』(講談社現代新書)の大きな書籍広告に目がひきつけられた。約25年後の2045年、全国各地で人口減少が進んでいるが、とりわけ評者の出身地の秋田県は41.2%も減るというのだ。一昨年(2017年)、県人口が100万人を切ったと大騒ぎした秋田県だが、2045年には60万1649人になるというのだからショックだ。

『未来の年表』シリーズで警鐘

 著者の河合雅司さんは、産経新聞客員論説委員のジャーナリスト。日本の人口減少と高齢化に警鐘を鳴らした『未来の年表』『未来の年表2』(いずれも講談社新書)は累計76万部のベストセラーとなった。

 『未来の年表』が、日本社会で起きうる課題を「人口減少カレンダー」として、『未来の年表2』では「人口減少カタログ」として描き、何をすべきかを提示した。

 これに対して本書は、その影響が日本列島の各地にどう影響するかを描いた「未来の地図帳」として見せようというものだ。

 2045年の人口の実数を見ると、最も小さい県が鳥取県44万8529人、高知県も50万人を割り、島根県、徳島県、山梨県も60万人に届かない。

 秋田県は人口減少のほか高齢化も進み、ダブルパンチとなる。75歳以上の割合が31.9%と予測される。つまり3人に1人が「後期高齢者」となる。どんな社会になるのだろうか? 想像がつかない。

 地方の問題だろうとタカをくくっていると大間違いだ。関西圏は三大都市圏の中で減少スピードが最も速く、下落傾向に歯止めがかからない。大阪市の人口を下支えしているのは外国人住民だ、と指摘している。労働力不足を補うため、外国人労働者の流入は避けがたいに違いない。

 このほか、札幌市は「道内から若者を中心に人口を引き寄せ、もともとの札幌市の住民が進学や就職を機会に東京圏などに流出する『ところてん式』になっている」とか、仙台市は東北を代表する政令指定都市だが、「一度"仙台パッシング"が始まったならば地域の人口を保つ"ダム機能"を果たせなくなる」、「福岡市が北九州市と熊本市を吸収する」など、政令指定都市でも安閑としておれないことがわかる。

東京は日本の中の「外国」

 本書によると、2045年に唯一、人口が増えているのが東京都だ。河合さんは、東京は日本の中の「外国」と位置づけ、非東京圏の各エリアは人口が減っても成り立つ仕組みへ転換すべきだと提言している。そして面的広がりを持たない拠点を各地に無数につくること、つまりドット型国家への転換を、と書いている。

 さて、人口減少が進む地方各地でいま力を入れているのが移住の促進であり、「関係人口」を増やすことだ。「関係人口」とは旅行やイベントなどで、当該地域へ来る「ファン」のような存在だ。河合さんも本書で「2地域居住」を勧めている。

 評者も秋田の無人の実家と首都圏の自宅を行き来しているが、今でさえ感じているさまざまな格差が今後さらに拡大するかと思うと、もはや別の国に住んでいるようなことになるのではと想像する。

 その東京でも練馬・杉並・世田谷区民の3人に1人が高齢者となり、老化や介護難民の問題が深刻になるというから、いいことばかりではない。

 本書のデータの根拠は、国立社会保障・人口問題研究所の「日本の地域別将来推計人口」(2018年)と総務省の「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2018年1月1日現在)などだ。「地方出身者は関西圏へ目を向けなくなってきた。転職や結婚などを機会に、東京圏へ移動してゆくのが実情なのだ」と関西人には耳の痛いこともデータに基づき、指摘している。政府にとってあまりに不都合な真実が並んでいるので、データが改ざんされることがないことを祈りたい。

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