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「ロープウェイはかせ」に聞く 絶対乗るべき絶景3路線

  • 書名 『絶景! 日本全国ロープウェイ・ゴンドラコンプリートガイド』
  • 監修・編集・著者名中島信
  • 出版社名扶桑社
  • 出版年月日2017年9月 8日
  • 定価本体1700円+税
  • ISBN978-4594077815
短かった夏が終わり、秋の行楽シーズンの到来です。

秋のレジャーといえば、海よりも山。山に行くなら、登山をする方もトレッキングをする方も、山ならではの乗り物に注目してみると楽しみが増えるかもしれません。

『絶景! 日本全国ロープウェイ・ゴンドラコンプリートガイド』(中島信著、扶桑社刊)は、国内で運行している"全て"のロープウェイ・ゴンドラを写真つきで網羅した、タイトル通りの「完全版」です。歯科医でもある著者の中島信さんは、全ての路線に四季それぞれ乗ったというマニア中のマニア。

今回はその中島さんに、紅葉の時期に乗るべきロープウェイ・ゴンドラや、驚くべき絶景が見られるもの、そしてちょっと変わったものなどをお聞きしました。秋のレジャー計画を立てる前に読んでおきたいインタビューをお届けします!(記事中のロープウェイ・ゴンドラの写真はすべて著者撮影)

■マニアが厳選!絶景ロープウェイ3選


――『絶景! 日本全国ロープウェイ・ゴンドラコンプリートガイド』についてお話をうかがいたいのですが、その前に、中島さんはかつて「TV チャンピオン」(テレビ東京系)の「新幹線王選手権」準優勝されたこともあるそうですね。

中島:はい。ただ、正式に準優勝という枠があったわけではないので、「決勝で優勝した人に負けた」ということなのですが。

――筋金入りの鉄道ファンであり、ロープウェイやゴンドラにも造詣が深い中島さんですが、鉄道にはない、ロープウェイ・ゴンドラの魅力はどんな点にあるとお考えですか?

中島:一つは「風景の劇的さ」です。鉄道というのは基本的には一般的に坂に弱い乗り物で、傾斜を登るのは1kmにつき30mくらいが限界なんですね。それよりきつい傾斜を登るには特別な装置が必要になります。だから、山の向こうまで鉄道を延ばしたいとなると、迂回するかトンネルを通すしか方法がないわけです。

それに対してゴンドラやロープウェイだと相当な急勾配でも登ることができるので、鉄道では見られない風景を見ることができます。たとえば紅葉は山頂駅から見頃が始まって、次第に山麓駅に降りていきます。中腹で見頃だったら、山頂ではもう見頃は終わっていて、山麓ではまだこれからです。

この時期に、中央アルプス駒ケ岳ロープウェイのような標高差が1000m近くあるロープウェイに乗ると、山麓から山頂に登りながら、紅葉の始まりから見頃、終わりまでが一望できるんです。紅葉だけでなく冬の雪や夏の緑の繁り具合など、季節の変化を直に見ることができるというのは、鉄道では味わえない魅力だと思います。

――本書では、日本全国のロープウェイ・ゴンドラが非常に美しい風景とともに収められていますが、全て中島さんご自身が撮影したものだそうですね。となるとやはり天候の問題で撮影が難航することもあったのではないですか?

中島:基本的には天気を調べて晴れると確信してから出かけるようにしています。そうなると航空券を取るのがどうしても直前になるので、出費がかさむのがつらいです(笑)

それと、やはり晴れていても気候の問題がありまして、冬の山というのはやはり寒いんですよ。あたりまえですけれど(笑)

山頂に行くと氷点下10℃くらいになることは珍しくありません。もっと低い時もあります。それでもスキーやスノーボードをするのであれば、動いているのでそこまで寒さを感じないはずですが、こちらはシャッターチャンスをじっと待つだけですから、これはなかなか辛いものがあります。

しかも、ゴンドラは15秒とか20秒おきにどんどん来ますが、ロープウェイは上下に一台ずつある車両が往復する方式なので、15分とか20分に一回しかシャッターチャンスが来ません。しかも、登る人も下る人もいなくて乗客がゼロだと、その回は運休になったりして。

―― 一番撮影に苦労したロープウェイ・ゴンドラを挙げるとしたらどれですか?

中島:やはり、現地に到着してから運休だと言われるのはきついですよね。その意味でいうと、先日の熊本地震の影響で今もまだ運休している、熊本の阿蘇山ロープウェーは苦労しました。

地震の前から、火山活動の影響で火山ガス(二酸化硫黄)の濃度が高くなると運休になります。こればかりはいくら天気を調べても、当日動いているかどうか、なかなかわからない。鉄道と比べると、ロープウェイやゴンドラは風と雷に弱い乗り物です。運行状況が天候に大きく左右されるのが難点ですね。2回訪れて、2回連続で乗ることができなかったのは、ここだけかもしれません。

――これまでの撮影であった予想外のハプニングについてお聞きしたいです。

中島:JAFさんには2回ほどお世話になっていますね。スキー場にあるロープウェイを撮る時はレンタカーで回ることが多いのですが、夕張のマウントレースイスキー場のゴンドラを撮りに行った時は、駐車場に車を停めておいたら、帰りはもう雪に埋まっていました。もちろんスタッドレスですし、四駆なんですけど、それでもどうにもならないという。青森のゴンドラでも同じようなことがありました。

――かけた労力がすさまじいですね。

中島:全国のロープウェイ・ゴンドラをそれぞれ何度も訪れているので、本当はこの本に掲載する写真も春夏秋冬並べたかったのですが、冬が長い八甲田ロープウェーなどは春と冬はあまり景色が変わらないんですよ。ですので、すべての路線の四季の写真を4枚ずつ並べるという企画は実現しませんでした。

――「絶景」という観点から、ベスト3を選ぶとしたら、どのロープウェイ・ゴンドラを挙げますか?

中島:一つは箱根ロープウェイですね。あとは北海道の洞爺湖にあるザ・ウィンザーホテル洞爺のスキー場のゴンドラからの景色もすばらしいです。

最後は岐阜の新穂高ロープウェイにしましょう。本に掲載している写真はゴールデンウィークの時期に撮ったものなのですけれど、残雪がいい感じの写真に仕上がりました。
(後編につづく)

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