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年収1000万円、上場会社勤務のエリートが不動産投資でカモられた話

  • 書名 40歳独身のエリートサラリーマンが「不動産投資」のカモにされて大損した件
  • 監修・編集・著者名杉田卓哉
  • 出版社名幻冬舎





ブームに沸く不動産投資。書店でも関連書籍が数多く置かれており、その多くは「これから始める人向け」「初心者向け」に書かれている。
しかし、「こうすれば上手くいく」「こうすれば収益が見込める」という言葉に気持ちが乗り、「お金が入ってくる」という安易な考えで投資をはじめてしまうと、遅かれ早かれ落とし穴にはまってしまうだろう。

頭の中で考えた道筋と、実際に辿る道筋は違うもの。
その現実を教えてくれるのが、『40歳独身のエリートサラリーマンが「不動産投資」のカモにされて大損した件』(杉田卓哉著、幻冬舎刊)だ。

大手上場企業勤務・年収1000万円の40歳独身サラリーマンが将来への不安から口車に乗せられ、マンション投資に乗りだすものの、不動産会社のカモにされてしまう、実話を元にしたビジネス・ライトノベルである。

■不動産投資、4つの「釣られ」ポイント

著者の杉田氏は実際に不動産投資で財を成し、サラリーマンや公務員などから投資についての相談を受けている人物。だからこそ、不動産会社が裏で何を考えているのか、顧客をどのように釣ろうとしているのかを描くことができる。

本書はエンタメ要素が強く、ある程度デフォルメされて業界が描かれている部分もある。しかし、不動産投資をこれから始める人には参考になる部分は多いはずだ。
ここでは、主人公の須藤がついつい釣られてしまった「カモられポイント」を4つ、ピックアップする。

(1)可愛い声の女性によるテレアポ営業に釣られ、不動産会社と面会

不祥事に揺れる大手企業・ジャパソニックに勤めている須藤がたまたま取った電話。それは、ゴールデンゴール商事の橘高愛良からの不動産投資に関する営業電話だった。

若い女性の分かりやすい営業ながら、なんとなく好奇心を持ってしまう須藤。「ジャパソニックさんのような大きな会社の社員さんだけしか使えない方法なんです」という言葉に、興味を抱き、その日に面会することになってしまう。

(2)担当者との最初の面会で契約書にサイン

コンタクトを取ってきた橘高、そして営業課長・九門と面会した須藤。マンション投資のメリットについて説明を受け、ひとまず持ち帰って検討したい旨を伝えるが、九門は「こちらのマンションですが、今非常に人気が高くなっていて、残り1室しかないんです」と決断を急かす。そして、差し出される契約書...。

須藤の不安を振り払う言葉を繰り出す九門。その言葉にほだされ、ついに須藤はサインをする。

(3)家賃収入があっても収支はマイナス。さらに新しいマンションを購入

新築マンションの一室を購入し、無事に借り手が見つかるも、マンションのローンの支払いでマイナス収支。「使えるお金が減ったといえるかもしれない」と不満を口にする須藤に、橘高は数字を見せながら「マンション1室だけだと、老後の年金としては、ちょっと不足ですよねえ」と不安を煽り、「もう一つ、購入して、将来の収入を安定させてみませんか?」と提案する。

橘高の一生懸命さと提案されたマンションの価格に魅力を感じた須藤は二つ目の物件を契約することに。

(4)管理会社に管理を任せたところ、家賃の決定権がなくなる

家賃収入が収益のカギとなる不動産投資において、空室は一番のリスクだ。そこで須藤はゴールデンゴール管理会社とサブリース契約を結ぶ。サブリース契約とは「又貸し」のことで、管理会社がオーナーから部屋を借り上げ、空室であろうがなかろうが、家賃収入を保証するという契約である。

ところが、借り手がつかないことから、家賃を下げたいという提案を受けることに。最初はOKするも、「お支払い家賃も下がることになります」という言葉を聞いて須藤はうろたえる。契約から賃料の決定権が奪われており、管理会社の言う通りにしかできず、家賃収入は大幅減。ローンの回収計画は大幅に崩れてしまったのだった。

 ◇

プロたちによる言葉巧みな営業によって、不利な状況に追い込まれていく須藤は、年収1000万円という高収入が災いした形で、どんどんカモられていく。では、どのようにしてその窮地を脱したのか? それは本書を読んでのお楽しみだ。

ただ一つ言えることは、「何となく不安だから」「不労所得が欲しいから」というような曖昧な気持ちに、不動産営業はつけ込んでくるということである。なぜ、投資をするのか? どう回収していくのか? それを考えられていなければ、不動産営業につけ込まれてしまうかもしれない。

(新刊JP編集部)

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