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身近にいる「ちょっとだるそう」「疲れて見える」な人は、もしかしたら...。

  • 書名 熟年期障害
  • 監修・編集・著者名平澤精一
  • 出版社名アスコム

近年、男性にも「更年期障害」があることが知られているが(主に男性更年期障害、LOH障害と呼ばれる)、最近にわかに注目を浴び始めてきたのが、「更年期」を過ぎた後にも、同じような症状を発症する「熟年期障害」だ。

メディアでも取り上げられてきているほか、その症状について解説する書籍も出版されている。その一冊が医師の平澤精一氏による『熟年期障害』(アスコム刊)だ。

「熟年期障害」は60歳から80歳にかけての「熟年期」に発症し、本書では主な症状として次のようなものがあげられている。

・何に対しても興味が持てず、やる気が起こらない
・外出する気になれず、引きこもり状態になっている
・判断力が低下した
・物忘れがひどくなった
・イライラや不安感に襲われやすい
・疲れがなかなか取れず、だるい
・肌荒れや脱毛がひどく、見た目が急激に老け込んできた
・よく眠れない
・性欲がない
(『熟年期障害』より一部抜粋)

60歳から80歳というと、定年で仕事を退職し、いわば「自由な生活を送れる」年代。現在は健康寿命も少しずつ伸びており、「人生100年時代」というキーワードも浸透したため、「それまでできなかったやりたいことを思う存分やる時間」というイメージが強くなっている。

しかし、生活に張り合いがなくなった。趣味や仕事がない。人間関係にストレスを感じるなど、さまざまな影響からなんとなく元気がないという人は注意が必要。なかなか病院に行っても原因がわからず、「これが老化か」と思っていたら、実は熟年期障害だったという人は実に多いという。

やっかいなことに、熟年期障害は「テストステロン」という男性ホルモンが深く関係しているが、通常の病院の検査ではテストステロンの数値を調べることは少ないため、なかなか診断されにくい「病気」といえるのだそうだ。

■原因はストレス!? 実は50代、40代の男性に多い「隠れ熟年期障害」

平澤氏によれば、「熟年期障害」は主に「テストステロンというホルモンの分泌量の低下」と「亜鉛という栄養素(ミネラル)の不足」によって起こるという。そして、テストステロンや亜鉛不足による心身の不調自体は、40代前後から起こる可能性があるが、60代以降になるとその深刻さを増すと指摘する。

テストステロンは「社会性ホルモン」とも呼ばれており、会社などでリーダー的な立場にある人、周囲から自分は認められていると実感できている人は増える傾向に、社会的に孤立したり、存在意義を見失っている人は減る傾向にあるという。つまり、人間関係が断たれてしまうとテストステロン分泌量の低下を起こしがちになるのだ。

もし、身近に「最近、元気がない」「昔に比べて疲れている」働き盛りの男性がいたら、「隠れ熟年期障害」の可能性があると著者は指摘する。
また、熟年期障害は冒険心、決断力、意欲を減退させるため、一見、ストレスによる心の疲れに見えなくもないので、放置せずテストステロン不足かどうかを調べたいところだ。

 ◇

本書ではこうした問題を指摘しながら、テストステロンや亜鉛の重要性、より具体的にどんな人が「熟年期障害」にかかりやすいのか、どのような症状が起こるのか、そして、その対処でやるべきことなどが平澤氏の知見をもって書かれている。

特に気を付けたいのは、「熟年期障害」は男性だけでなく女性も起こるということ。「テストステロン」は男性ホルモンではあるが、女性の体内でも分泌されており、特に更年期を過ぎた後はこのテストステロンの影響を強く受けるのだという。

この年代の人はもちろんのこと、自身の家族にこの世代がいるという人も、チェックしておきたい一冊だろう。

(新刊JP編集部)

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