九州・四国で日本脳炎感染に注意 予防接種有効だがワクチン不足

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   主にコガタアカイエカ(蚊)が媒介する日本脳炎。日本国内ではワクチンの定期接種により流行が防がれているが、それでも毎年数人の患者が出ている。

   長崎県は2016年9月30日、対馬市で男女4人が日本脳炎を発症したと発表した。蚊の活動時期はまだ続いており、感染への注意が必要だ。

  • しばらくは蚊に刺されない対策を
    しばらくは蚊に刺されない対策を

蚊がウイルス持つブタの血を吸い、人間にうつす

   長崎県の発表によれば、対馬市での発症者4人はいずれも70~80歳代の高齢者で、同一時期に発生したが集団感染ではない。全員が入院しており、髄膜炎や意識障害といった症状が出ているという。

   厚生労働省によると、日本脳炎ウイルスに感染すると約1000人に1人が日本脳炎を発症し、うち20~40%が死亡する。生存した場合も45~70%に精神障害などの後遺症が残る。ただしワクチン接種が有効で、罹患リスクを75~95%と高い割合で減らすことが可能だ。そのため、報告患者数は1992年以降10人以下に抑えられている。とは言え一度感染すると、特に体力のない幼児や高齢者は命にかかわる。

   感染は、蚊が日本脳炎ウイルスを持つブタの血を吸った後、ヒトを刺すことで起こる。ウイルスを持つブタは体内に抗体ができるので、国立感染症研究所では、ブタの日本脳炎抗体保有状況をウェブサイト上で定期的に公表している。直近となる2016年9月29日現在では、調査したブタの80%以上に抗体保有が認められた都道府県は、今回患者が発生した長崎県をはじめ福岡県、大分県、佐賀県の九州4県、また四国では4県すべてが該当した。このほか鳥取県と静岡県、また関東でも千葉県が含まれている。こうした地域では、ウイルス感染に気をつけたい。

   自治体によっては、ウェブサイトで注意喚起をしているところがある。徳島県は8月12日、ブタの血液検査で日本脳炎に感染する危険性がある基準値を超えたとして、感染対策やワクチン接種を呼びかけた。

ワクチン供給不足で予防接種一時中止も

   厚労省によると日本脳炎の予防接種は通常、3歳のとき2回と、その後1年の間隔を置いて4歳で1回の計3回を「1期接種」とする。さらに9歳のときに「2期接種」として1回打つ。

   ただし2005~09年度の間、「日本脳炎の予防接種後に重い病気になった事例があったことをきっかけに」予防接種の案内がされなかった。このため厚労省では、特に2002~06年度生まれの子は、1期接種が終わっていない可能性があると注意を促している。

   10月に入っても全国的に気温が高く、蚊の活動はまだ収まっていないとみられる。ツイッターには、日本脳炎ワクチンを接種してきたとの投稿がある半面、ワクチン不足で予防接種を受けられなかったとのツイートもあった。

   埼玉県戸田市立市民医療センターは2016年9月6日に「日本脳炎ワクチンの供給体制が不十分なため、予約受付を一時休止します。安定して供給されるようになりましたら、予約受付を再開します」とウェブサイト上で告知した。各地の複数のクリニックでも、日本脳炎ワクチンの供給不足から予防接種の予約を一時中止するとウェブサイトで知らせている。

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