2024年 4月 18日 (木)

【男と女の相談室】ギャンブル依存症が怖すぎる 脳と人格が変わり一生の闘いに

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   カジノやホテルなど総合型リゾートを推進するカジノ解禁法案が2016年12月6日に衆議院本会議で可決され、成立する見込みになった。

   カジノ解禁法案は、「ギャンブル依存症」を推進するとして、反対する人が非常に多い。脳が変わり、人格まで破壊してしまうギャンブル依存症とはどんな病気なのだろうか。

  • ギャンブル依存症は恐ろしい
    ギャンブル依存症は恐ろしい
  • ギャンブル依存症は恐ろしい

「いつも頭に賭博が」「嘘をつく」「負けた場所に戻る」

   ギャンブル依存症の患者は、2014年の厚生労働省研究班の調査によると、成人全体の4.8%(男性8.8%、女性1.8%)に達すると推計され、合計536万人いるとされる。米国の1.6%、フランスの1.2%などに比べ、先進国の中では突出して多い。これは日本にはパチンコが全国津々浦々にあるからとみられる。

   まずは、自分がギャンブル依存症かどうかチェックしてみよう。ギャンブル依存症の自己診断チェックはいろいろあるが、代表的な国際的基準とされているのが、下に紹介する米国精神医学会が作った「ギャンブル障害チェックシート DSM-5」だ。過去1年以内で以下の9項目に該当すると、ギャンブル依存症(ギャンブル障害)と診断される可能性が高い。

   (1)興奮を得たいがために、掛け金の額を増やして賭博をする欲求がある。

   (2)賭博をするのを中断したり、または中止したりすると落ち着かなくなったり、いらだったりする。

   (3)賭博をするのを制限したり、減らしたり、または中止したりする努力を繰り返し成功しなかったことがある。

   (4)しばしば賭博に心を奪われている(例:次の賭けの計画を立てること、賭博をするための金銭を得る方法を考えることなど)。

   (5)苦痛の気分(例:無気力、罪悪感、不安、抑うつ)の時に、賭博をすることが多い。

   (6)賭博で金をすった後、別の日にそれを取り戻しに元の場所に行くことが多い(失った金を『深追いする』)。

   (7)賭博にのめり込んでいることを隠すために、周囲に嘘をつく。

   (8)賭博のために、大切な人間関係、仕事、教育、または職業上の機会を危険にさらしたり、失ったりしたことがある。

   (9)賭博によって引き起こされた絶望的な経済状況を免れるために、他人に金を出してくれるよう頼む。

   これら9項目のうち、4~5項目が当てはまると「軽度」、6~7項目で「中程度」、8~9項目で「重度」のギャンブル依存症になるという。

脳が「大根」から「沢庵」に変わり二度と戻らない

   ギャンブル依存症の恐ろしさについては、2014年11月17日放送のNHK「クローズアップ現代 『ギャンブル依存症』明らかになる病の実態」で詳しく取り上げた。番組では冒頭、福岡県の精神科病院で入院治療を受けたAさんのケースを紹介した。Aさんがパチンコを始めたのは20歳の学生の時。就職後もやめられず、同僚から借金を繰り返し、両親が返済の肩代わりをした。それが1000万円を超し、Aさんは家の家財道具を勝手に質屋に持ち込んだ。

Aさんの父親「ゴルフクラブがなくなる。パソコンが消える。下の息子が『テレビもなくなるよ』と言うから、『まさか』と思ったら、本当になくなりました」
Aさん「自分でも異常な行動をとっていることが、わからなくなりました。迷惑をかけないよう家出しましたが、1週間後にカネがなくなり、気が付いたら家の裏口に立っていました」

   Aさんは現在退院し、自助グループの仲間ともに回復を目指しながら、再び働き始め、少しずつ親に借金を返している。

   ギャンブル依存症になると、脳が変わる。番組では、京都大学が正常な人の脳とギャンブル依存症患者の脳を調べた画像が紹介された。正常な人の脳は周囲の刺激に対し、赤く活発に活動している様子が示される。ところが、依存症の患者の脳はまったく反応していない。ギャンブルにだけ過剰に反応するようになり、脳のバランスが崩れてしまったのだ。精神科医の森山成彬さんがこう解説した。

森山医師「ギャンブル依存症は、なまやさしい病気ではありません。正常な人の脳が大根だとすれば、依存症患者の脳は漬物の沢庵のように変わるのです。『沢庵になった脳みそは、二度と大根に戻らない』と患者自身が言っています。それぐらい大変な病気で、一生の闘い、治療と思った方がいい」

   MCの国谷裕子キャスターが、ギャンブル依存症に取り組んでいる北海道精神保健福祉センターの田辺等所長に聞いた。

国谷キャスター「どんな人がギャンブル依存症に陥るのでしょうか」
田辺所長「8割はごく普通のサラリーマン、公務員、主婦、学生、年金生活者です。残りの2割はうつ症状の人です。たとえば、妻がパチンコであちこちに借金を作り、立ち直ると約束してもまだ陰でコソコソやっている。そこで、夫が相談に来る。私がギャンブル依存症のことを説明し、『病気だから受け入れるしかない』と話しても、夫は『先生の言うことは信じられない!』と認めない。そのくらい普通の人が多いです」
国谷キャスター「脳が変わるといいますが、具体的にはどう変わるのですか」
田辺所長「ギャンブルで勝った体験が、強烈に脳に刻印されてしまいます。そのため、繰り返し勝った時の刺激を求めていく。結果として、ほかの娯楽やゲームでの快感を受け付けなくなっていきます。ギャンブルに特異的に反応するよう脳が機能変化を起こしてしまうのです」

立ち直るのは「家計簿をつける」「趣味を見つける」

   では、ギャンブル依存症から立ち直るにはどうしたらよいだろうか。日本で圧倒的に悩む人が多いのは「パチンコ依存症」だ。それを克服した人が作っているウェブサイト「パチンコ依存症解決センター」を見ると、多くの人の体験談をまとめた結果として、次の方法が紹介されている。

   (1)家計簿をつける。金銭感覚を取り戻すために効果的。ギャンブルに使ったカネはもちろん、コンビニの買い物のレシートまで記録すると、自分の金銭感覚の異常さに気づく。

   (2)嘘をつかない・ごまかさない。パチンコ依存症の2大特徴は「嘘」と「借金」。嘘に嘘を重ねるのが習慣になる。パチンコをした場合も正直に打ち明ける癖をつける。

   (3)おカネの管理を徹底する。外出する際はカネを持ち歩かない。財布にお札を入れない。キャッシュカードやクレジットカードも持ち歩かない。不安な人は身内の人に財布を預ける。金銭感覚が戻るまで、最低3年間は管理する。

   (4)パチンコの情報を遮断する。誘惑は情報に乗ってやってくる。コンビニの雑誌コーナー、電車の広告、新聞・雑誌・インターネット、すべてからだ。そのくらい脳に焼き付いているので、絶対に見ないようにする。

   (5)病院で専門的治療を受ける。精神科病棟にギャンブル依存症の専門プログラムが用意されているので入院し、規則正しい生活をすることから始める。

   (6)ボイスレコーダーに決意を吹き込こむ。スマートフォンなどの録音機能に自分の決意や目標を語り、折にふれて聞く。

   (7)自助グループのミーティングに参加する。仲間がいると励まされる。また、さまざまな回復支援施設があるので積極的に出かける。

   (8)新しい趣味や仕事を見つける。パチンコよりも楽しく夢中になれるものがあれば、克服につながる。パチンコ依存症になった人は、ある意味で才能がある。依存できるほど物事に夢中になれる才能だ。それが趣味だったら? 仕事だったら? 何かほかのものに依存しよう。おカネが好きなら仕事で稼ごう。

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