千代の富士やジョブズを奪ったすい臓がん 一滴の血液でわかる画期的検査開発

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   がんの中でも最も発見しにくい悪質なすい臓がんを、たった一滴の血液で見つける画期的な検査方法が開発された。米アリゾナ州立大学のトニー・フー博士らのチームが英科学誌「ネイチャー・バイオメディカル・エンジニアリング(NBE)」(電子版)の2017年2月6日号に発表した。

   がん細胞が血液内に放出する特殊なタンパク質をとらえ、検査キット内の物質が光を発する仕組み。約85%以上の精度ですい臓がんを識別した。研究者は「非常に簡単でとても安い」としている。

  • 従来の検査法は何度も血液採取
    従来の検査法は何度も血液採取

がん細胞のタンパク質が光を発する

   すい臓がんは、末期になってから症状が表れるケースが大半だ。「早期発見しにくい」「転移しやすい」「治療が難しい」「生存率が低い」と悪条件が4つもそろい、「最悪のがん」と呼ばれる。国立がん研究センターの最新の統計によると、すべてのがんの「5年生存率」の平均が62.1%なのに、すい臓がんは7.7%と主ながんの中で最も低い。「10年生存率」は4.9%まで下がる。最近では、米アップル創業者の実業家スティーブ・ジョブズさん(享年56)、歌舞伎俳優坂東三津五郎さん(60)、元横綱千代の富士さん(61)らが命を落とした。

   「NBE」誌の2月6日付プレスリリースによると、フー博士らのチームは、すい臓がんの細胞の中に存在する「Epha2」というタンパク質を特定した。ナノ粒子技術(編集部注:ナノは10億分の1の意味)を使って、「Epha2」の分子をほかのタンパク質の分子と分離することに成功。そして、「Epha2」の分子に光線を当てると光る特殊技術を開発した。この技術を使った検査キットを作成、1粒の涙より少ない血液中から「Epha2」を検出することが可能になった。

   すい臓がんの患者と健常者、すい炎の患者を85%以上の精度で識別することに成功した。これは従来のすい臓がんのマーカー検査よりかなり高い精度だという。フー博士はプレスリリースの中で「従来の方法は、何度も血液サンプルをとるため時間と費用がかかりますが、私たちの方法は短時間で、はるかに少ない血液ですみます。しかも精度が高く、非常に安価です」とコメントしている。ただし、米国食品医薬品局(FDA)の認可を得るのに2~3年かかりそうだという。

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