2024年 4月 18日 (木)

階段上り:日野原重明さんが実践した健康法 短時間でできて効果はジョギング並み

   運動はしたいけど、時間もカネもない人にオススメなのが、「階段上り」だ。ウオーキングよりもはるかに短い時間で効果をあげることができる。駅やデパートのエレベーターやエスカレーターを使わないだけだ。

   カナダのマクマスター大学のチームが、最新研究で「階段を駆け上がる」インターバルトレーニングが、短時間で行なえる実践的なエクササイズであることを立証した。必要なのは、「やる気」だけだ。

  • 階段があれば喜んで駆け上がろう
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階段を上りながら呼吸法を行なう

   階段上りといえば、日野原重明・聖路加国際病院名誉院長(105歳)が100歳近くまで実践していた健康法として知られている。2010年11月10日付読売新聞「日野原重明の100歳からの人生 健康の秘訣は...」を見ると、こう書いてある(要約抜粋)。

「長生きするのに大事なことは、肺機能をよくし、誤飲や感染症による肺炎を予防することである。肺機能をよくするには、上手な呼吸法をマスターすること。これは丹田式呼吸、座禅の呼吸、ヨガの呼吸などであるが、私は、建物の中や駅のエスカレーターを用いず、階段を急ぎ足で上がっている。一段一段を吐いて、吐いて、吐いてと3連続で吐息して、あと一息吸気し、それを繰り返して階段を上がっている」

   日野原さんの階段上りは、足腰の鍛錬だけでなく、大事な呼吸法の1つでもあるのだ。月刊誌「文藝春秋」(2007年3月号)の「日野原重明先生の『10の生活習慣』」でも、「病院内、駅、空港などでは必ず階段を一段飛びで上がる。息を吐き切る。大きく吐いて、吐いて、吐き切り、新鮮な空気を吸う」と、階段上りのコツを書いている。

心肺機能の向上はエアロバイクと同じ

   マクマスター大学のチームが発表したスポーツ科学誌「Medicine&Science in Sports&Exercise」(電子版)の2017年2月号の論文要旨によると、研究チームは、次の実験で階段上りが非常に実践的なフィットネスであることを立証した。

(1)運動習慣がなく、椅子に坐る仕事が多い平均的な体格の女性31人(平均年齢24歳)を2つのグループに分けた。
(2)Aグループは、20秒間連続して階段を駆け上がることを疲労困憊になるまで3回繰り返す。つまり、1日に1分(20秒間×3回)全力で階段を上がるわけだ。このエクササイズを週に3回(週あたり3分)、6週間続ける。
(3)Bグループは、エアロバイク(自転車)をAグループと同じように20秒間連続して疲労困憊になるまでこぐことを3回繰り返す。このエクササイズを週に3回(週あたり3分)、6週間続ける。

   その結果、階段グループとエアロバイクグループの6週間後の心肺機能を比較すると、ほぼ同じレベルに向上した。エアロバイクの高い健康効果は、多くの研究から明らかになっている。研究チームのマートン・ギバラ教授は、マクマスター大学のプレスリリースの中でこう語っている。

「エアロバイクはスポーツジムに行かないと使えませんが、それと同じ健康効果を駅や家の中の階段の上り下りで得られるのです。もう『運動する時間がない』という言い訳は通用しません。階段を歩いて上るより、駆け上がってインターバルトレーニングをすると、さらに効果が上がりますよ」

運動効果は平地の3倍!「階段エクササイズ」

   全国健康保険組合のウェブサイト「健康サポート」では、メタボの予防・改善対策の決め手として「運動効果は平地の3倍! 階段エクササイズ」を推奨している(要約抜粋)。

「運動の時間が取れなくて...という方におすすめしたいのが階段の上り下り。特に上りは平らな所を歩く場合の3倍の運動量になり、ジョギングと同じ運動量になります。階段を上るために足を引き上げることで、中年過ぎから衰えやすい腰回りや太ももの筋力の強化になります。足腰の大きな筋肉の衰えをストップすると、基礎代謝が活性化され、脂肪のつきにくい体になります」
「職場のフロアが2~3階なら歩いて上る。駅ではエスカレーターを利用しない。自宅マンションやデパートなどの高層階では、初めにエレベーターやエスカレーターを利用しても、途中で降りて最後は歩く──などのチャレンジを続けていけば、立派な運動になります」

   そして、階段を取り入れた簡単エクササイズを紹介している。

「職場や自宅に階段があれば、いつでもできる手軽な方法です。例えば、10段分だけ一定時間上り下りする方法があります。無理をせず自分のペースで10分程度上り下りします。上りは背筋を伸ばし、かかとから着地することで腰回りや太ももの後ろ側の筋肉が鍛えられます。下りでは最初は手すりのある階段で行うのが安全です。下りの着地は、かかとではなく土踏まずから降ろすと、ブレーキがかかり過ぎずスムーズに行えるでしょう」
 「身近に階段がなくても、上り下り運動のステップ台が商品化されています。高さ10~20センチほどの台に10分間ほど上り下りするのが基本です。これを1日3回、2か月続けた中年女性のウエストが2センチ以上も細くなったというデータがあります。低い台を上り下りするだけでは飽きるという人は、気に入った音楽を聞きながらするのもいいでしょう」
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