2024年 4月 20日 (土)

【男と女の相談室】大谷翔平の活躍は肝臓に秘密? 運動効果の個人差解明が衝撃的

   「運動神経がないから、学校の体育の時間がツラかった」「運動部でいくら頑張ってもレギュラーになれない」――プロ野球・大谷翔平選手のように投手と打者の「二刀流」で大活躍する人間もいれば、「運動音痴」に悩む人間もいる。

   いくら頑張っても運動効果に個人差がある原因の1つを金沢大学などの研究チームが解明し、米総合医学誌「Nature Medicine」(電子版)の2017年2月27日号に発表した。実は、「運動神経」の問題ではなく、肝臓から分泌されるホルモンが運動効果を台無しにしており、もしホルモンの働きをなくすことができれば、「金メダル」も夢ではないという驚きの成果だ。

  • 投打の「二刀流」で活躍するプロ野球の大谷翔平選手(2017年1月撮影)
    投打の「二刀流」で活躍するプロ野球の大谷翔平選手(2017年1月撮影)
  • 投打の「二刀流」で活躍するプロ野球の大谷翔平選手(2017年1月撮影)

いくら運動を頑張っても上達しない人がいる

   金沢大学の2月27日付発表資料によると、同大学の研究チームは、以前から糖尿病など生活習慣病の予防や治療に運動が推奨されながら、運動療法の効果にはかなり個人差があり、なかなか効果があがらない人がいることに着目していた。そして、肝臓から分泌されるホルモンの1つ「セレノプロテインP」が、骨格筋に作用し運動を行っても効果を無効にする「運動抵抗性」という病態を起こしていることを発見した。

   今回の研究では、その「運動抵抗性」のメカニズムをマウスや人間の実験で突きとめた。まず、正常なマウスと「セレノプロテインP」を生まれつき持たないマウスに1日30分走らせる実験を1か月間続けると、「セレノプロテインP」を持たないマウスは、正常マウスの約2倍も長く走った。同じ時間運動したのに、その効果が倍増したのだ。また、正常なマウスに「セレノプロテインP」を投与して、体内の濃度を過剰にすると、運動のさまざまな効果を示すリン酸化現象が低下することがわかった。

   そこで、運動習慣がまったくない健康な31人の女性に協力してもらい、ウオーキングとサイクリングンの有酸素運動を8週間続けてもらい、運動効果を調べた。運動効果は最大酸素摂取量で測った。運動中に体内に摂取される酸素の単位時間当たりの最大値で、持久力を必要とするマラソン選手などは値が高い。すると、全体では最大酸素摂取量が高まったが、トレーニングをしてもあまり高まらない人が約3分の1いた。その人たちの血液中の「セレノプロテインP」の濃度が調べると、効果が上がった人に比べ、濃度が高かった。

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