2024年 4月 23日 (火)

愛犬の「子犬のような目」は計算づく 可愛い表情で飼い主をとりこにする知恵

   「キャッ、なんて可愛いおメメなの! そんな瞳で見つめないで!」。犬の飼い主なら愛犬が自分を見つめる仕草に、うすうす計算して「子犬のような目」をして自分をとりこにしているのかも感じているだろう。

   そのとおり! 犬は巧みに表情を作って飼い主と意志の疎通を図り、自分に有利になるよう操っている可能性があるという研究がまとまった。英ポーツマス大学の心理学者ジュリアン・カミンスキー教授らのチームが、科学誌「Scientific Reports」(電子版)の2017年10月19日号に発表した。

飼い主が見ていると表情が2倍豊かに

実験で使われた犬に対する4つのポジション(「Scientific Reports」の論文より)
実験で使われた犬に対する4つのポジション(「Scientific Reports」の論文より)

   同誌の論文によると、犬の表情はこれまで「自発的(計算づく)ではない」と考えられていた。だが、多くの犬の飼い主は、愛犬がときおり見せる「子犬のような目」にとろけてしまう。具体的には、真っ直ぐに飼い主を見つめ、眉を上げて目をより大きく見せる方法だ。「パッチリおメメ」にするのである。そして小首をかしげたりする。また、犬はよく「しかめ面」や歯をむき出しにした「笑顔」などを見せることがあり、飼い主から引き出される反応を十分理解しているように見えることがある。これは犬が意図してそういう表情を作っているのかどうか。

   それを確かめるため、飼い主の協力を得て、10匹の雑種を含む様々な品種のペット犬24匹(1~12歳)で実験をした。それぞれの犬は静かな部屋で鎖につながれた。部屋には犬に分からないように、ビデオカメラが備えつけられており、犬の表情をひそかに記録する仕掛けだ。そして、実験者が現れ、写真のA~Dのように4つの態度を順番に犬にしてみせ、犬の表情の反応をカメラで調べた。

(A)犬の目を真っ直ぐに見つめて、手に持った食べ物を提示する。

(B)犬の目を真っ直ぐに見つめて、手だけを提示する(食べ物は持っていない)。

(C)犬に対して後ろ向きになり、後ろ手で食べ物を提示する。

(D)犬に対して後ろ向きになり、後ろ手だけを提示する(食べ物を持っていない)

   そして、実験者が4つのポジションをとった時の犬の表情を、「Dog FACS」と呼ばれる犬の表情読み取り器を使って分析した。これは人間の顔面表情読み取り装置を応用したもので、目の大きさや眉の寄せ方、顔の筋肉の動かし方から「怒り」「悲しみ」「好意」「喜び」など犬の気持ちを分類する。

犬の愛くるしい目は計算づく?
犬の愛くるしい目は計算づく?

犬は「子犬の目」に効果があることを知っている

   その結果、4つのポジションごとに犬の表情が大きく変わることがわかった。特に(A)(B)のように実験者が真っ直ぐ自分を見つめている時は、(C)(D)のように後ろを向いて自分を見ていない時に比べ、2倍以上も表情が豊かになった。相手が自分を見ている時は表情を作るが、見ていない時は無表情になるのだ。そして、多くの犬は相手が自分を見ている時に「子犬の目」の表情をした。しかも、相手が食べ物を持っている、いないにかかわらず「子犬の目」をしたという。これは、犬が食べ物ほしさに「子犬の目」をするのではなく、もっと人間と深いコミュニケーションをとりたいために「子犬の目」を作っている可能性があるという。

   今回の結果について、カミンスキー教授は論文の中でこう語っている。

「とてもエキサイティングな結果でした。目だけではなく、犬は人から注意を向けられる時に、頻繁に顔を動かすこともわかりました。犬の表情は、意思疎通を図ろうとする積極的な試みである証拠を、今回の研究結果は裏づけています。しかも犬は『子犬の目』がとても効果があることを知っていると思われます」

   ところで、わが家のニャンコも胸キュンのおメメで見つめるのだが、アレも計算づくなのだろうか?

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