2024年 4月 26日 (金)

少年の両方の鼻の穴に磁石が入り大手術 磁石が引き合い取れない事故、日本でも

   子どもは鼻の中に小さな物を入れたがるが、中にはとんでもなく危険な物があるから親は注意したい。

   ボタン型の小さな磁石を両方の鼻の穴に入れた少年が、磁石がピッタリくっ付き合って取れなくなり、大手術になった症例が英医学誌「The New England Journal of Medicine」(電子版)の2017年10月26日号に報告された。

  • 鼻の穴の両側でボタン型磁石(白色の円形)がくっ付いたレントゲン写真。Aは正面、Bは側面(「The New England Journal of Medicine」の論文より)
    鼻の穴の両側でボタン型磁石(白色の円形)がくっ付いたレントゲン写真。Aは正面、Bは側面(「The New England Journal of Medicine」の論文より)
  • 鼻の穴の両側でボタン型磁石(白色の円形)がくっ付いたレントゲン写真。Aは正面、Bは側面(「The New England Journal of Medicine」の論文より)

ボタン型磁石を鼻に入れて遊んでいるうちに...

   同誌の論文要約によると、症例を報告したのはキプロスの首都ニコシアの医師、カディフ・カズキダス氏とモハメド・ディリク氏の2人。11歳の少年が顔に猛烈な痛みを訴えて、病院の救急センターに搬送された。顔のレントゲン写真を撮ると、2個の丸いボタン型の磁石が鼻の両方の穴に入っており、鼻中隔(左右の穴を隔てる部分)をはさみ、互いに引き合ってピッタリくっ付いていた(=写真参照)。磁石は、搬送される6時間前に少年が自分で鼻の中に入れた。

   磁石は鼻中隔を強く圧迫しており、粘膜部分を圧縮して壊死させ、穴を開ける危険があった。救急センターでは、鉗子(かんし)などを使い磁石を取り出そうとしたが、強力に引き合っているため除去することに失敗した。

   そこで緊急手術をすることにした。少年に全身麻酔をかけ、鼻の両サイドに強力な磁石を取り付け、ボタン型磁石を鼻中隔から引き離すことに成功した。しかし、少年の鼻の穴は、鼻中隔の粘膜だけでなく軟骨部分も大きく損傷していた。6か月間、治療を続けた結果、少年は完治した。

13歳少女の鼻から5個の磁石が出てきた!

   日本でも同じように磁石が鼻の穴に入って手術に至った例が2つ報告されている。医学誌「耳鼻咽喉科・頭頸部外科」(電子版)の2016年7月号の「磁石による両側鼻腔異物の2例」に、東京女子医科大学耳鼻咽喉科の症例(13歳女子)と茅ヶ崎市立病院耳鼻咽喉科(3歳男子)の症例が紹介されている。

   13歳女子の場合は、顔の痛みを訴えるのでレントゲン写真を撮ったところ、何と左右の鼻の穴の奥に、計5つの磁石があることがわかった。数年前から何回かに分けて磁石を中に入れていたらしい。磁石が引き合って、すでに「鼻中隔穿孔(せんこう)」(鼻中隔に穴が開く)の状態になっていた。

   3歳男子の場合は、キプロスの少年と全く同じケースだ。2個の磁石を鼻の両方の穴に入れ、鼻中隔の部分でピッタリくっ付いてしまったのだ。

   くれぐれも、ボタン型磁石は子どもの手の届くところには置かないよう気をつけよう。

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