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会社をやめた――「独立1年目」乗り切るのに必要なモノ

   今年も残すところわずかだが、12月は一般的にいって「ボーナス退社」が増える時期だ。今年いっぱいでサラリーマンに別れを告げて、来年から新たな一歩を踏み出そうと準備中の方もいるだろう。だが、独立直後の生存率は思いのほか低い。そこで、独立して1年目をクリアするためには何が必要なのか、お話したいと思う。

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1年未満で廃業に至ってしまう原因は?

   第4回のコラムで紹介したように、フリーや個人事業で独立開業した人のうち、1年未満で脱落してしまう人は約4割にも及ぶ。人生の選択をして取り組んだにもかかわ らず、短期間で廃業に至ってしまう理由は、どこにあるのだろうか。

   事業が継続できなくなったということは、頑張ってみたけれど結果的に仕事が取れなかった。売上が上がらなかったということだ。収入の見込みが立てば、なんとか継続していける。しかし、そうでないと、手持ち資金で何ヶ月暮らせるかということになり、運転資金が尽きたところでストップがかかってしまう。

   売上が伸びない原因は、2つ考えられる。1つは、仕事の見通しが甘かった、あるいは十分に検討せずに独立してしまったということ。つまり、独立準備が不十分だったということだ。実は、個人事業主として独立した人の1年後の生存率は60%で、会社をつくって独立した人の80%よりも20ポイントも低い。その背景には、事業プランを練らずに始めてしまう人が多いことが考えられる。

   もう1つの原因は、仕事を取る力が足りなかったということである。取引先との折衝や営業経験が不足していたことが大きいと考えられる。独立すると、仕事を取るところから始まるということを見落としている人が意外に多いのだ。

   1年目をクリアできた人は、独立前に既に取引先を確保していた人や、仕事上のお付き合いがひろく、独立したら仕事を頼みたいと言ってくれる人がたくさんいたというケースが多い。独立直後、一番大きな経費が新規顧客獲得コストになるため、独立してからお客様を探そうというのでは、遅すぎるということになってしまう。

年賀状で分かるあなたの人脈力

   いま独立準備中の方は、ちょっと考えてみてほしい。独立した後、仕事を発注してくれるのは誰だろう。すぐに、思い当たるだろうか。もし見込めるとしたら、何人ぐらいいるだろうか。独立当初、仕事を発注してくれるのは、少なくとも自分のことを知っている人になる。または、紹介ということでも、知っている人の知り合いになる。

   そして、そうした人の中で、仕事をお願いしたい、仕事を紹介しても大丈夫、と自分のことを評価してくれる人は何人いそうだろうか。独立段階において、仕事を取る力とは、それまでに培ってきた人脈がどれだけあるかということになる。

   人脈力をはかるバロメーターに年賀状がある。独立の条件の1つに、年賀状が100枚以上届くようでないと、という話がある。また、「年賀状を出す人が500名を超えると、人脈だけで食べていける」という話もある。仕事納めに年賀状を書くという人も多いと思うが、あなたの手元には何枚年賀状が届くだろうか。

   独立に限ったことではないが、人との繋がりは、常に大切にしておきたい。そして、積極的に人に会っておくと、思わぬ人が応援してくれるかも知れない。

   次回は、継続していくために不可欠となる「利益を生み出す力」についてお話したいと思う。

塚田祐子

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