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朝7時から勉強会に参加!増える「自立型サラリーマン」

   急速な景気の悪化で、上場企業といえども安閑としていられない時代。いざというときに備えて「自己投資」に励むサラリーマンが増えている。なかでも最近急増しているのが、早朝から勉強会に参加したりジムに通ったりする「朝型サラリーマン」だ。

早朝セミナーで出社前にスキルアップ

   就職活動支援サイトを運営するジョブウェブは2006年春から社会人向けの「朝食会」を開いている。早朝7時から、東京・六本木にある同社のセミナールームで朝食付きの勉強会を実施する。

   テーマは、手帳活用術や人脈構築のコツ、服装術など、ビジネススキル系のものが多いが、ときには「最近読んだ本で良かったもの」について参加者同士で議論することもある。

   現在の開催ペースは月2回。参加者は毎回30~50人くらいで、20代と30代が半々ずつ。男女比は7対3で男性比率が高いが、なかには朝4時に起きて遠方から参加しているパワフルな女性もいる。

「夜は残業があったり飲み会があったりして、予定を入れづらいですが、朝だとほかの用事が入ることはありません。ビジネスパーソンにとって朝は『空白の時間帯』なので、出社前にスキルアップをしてもらおうという狙いです」

とジョブウェブ・キャリア事業部長の中島明さんは語る。

「最初は勉強会のテーマにひかれて参加する人がほとんどですが、実際に参加してみると、朝早く起きて時間を有効活用することに意義を感じる人も多いようです。朝早く起きる『口実』として、朝食会を利用している人もいます」

さらに最近では、ジョブウェブの朝食会だけでは満足できず、自分で読書会や勉強会を主催する人も増えているという。

「みんな、こっそりやっている」

「試しに朝食セミナーに行ってみたら、スーツを着た若いビジネスパーソンがびっしりいてビックリしました」

そう話すのは、エンジニア向けのWebマガジン「エンジニアLive」の吉原まさる編集長だ。

「みんな真剣にノートを取っている。いま流行のマインドマップみたいなノートをかいている人もいました。うちの会社にはこんなアクティブな人たちはいないなぁと感じたんですが、参加者の一人と名刺交換をしたら『あれ?同じ会社の人も参加していますよ』と言われました。『みんな、こっそりやっているんだな』と驚きましたね」

   早朝から盛況なのは、勉強会だけではない。都心のスポーツジムは出社前にトレーニングをして汗を流す30代、40代のビジネスパーソンでにぎわっている。オフィス街や駅構内にあるカフェも、資格試験や語学の勉強をする人たちでいっぱいだ。多くのサラリーマンが朝の時間を活用して「自己投資」に励んでいるのだ。

   吉原さんによれば、このような現象は3年ほど前から目立ってきたが、ここ1、2年は「ブームといえる状況」だという。

「特に熱心なのが20~30代のサラリーマン。バブル崩壊以降の不況期に育ち、終身雇用制が崩れていることを最初から知っている世代です。大企業に入ることができたとしてもダラダラしないで、自分の力を磨いているのです。勝間和代さんの自己啓発本があれだけ売れるのも、そういう人たちが多いからでしょう」

会社への「依存」から「自立」へ

   吉原さん自身も刺激を受けて、半年ほど前から朝5時か6時に起きて、NHKラジオの英会話講座を聴いたり、スポーツジムに行ったりするようになった。その結果、TOEICの点数が200点上がり、10kmくらいなら走っても全然疲れないようになった。

「そこそこの成果があったので嬉しくなって(ブタもおだてりゃ木に登る理論)、朝が来るのが楽しくなるようになってきました。・・・朝を活用すればするほど、体調や意識などがクリアになった状態で過ごせる時間が指数関数的に増えていくのです」

と吉原さんは自分のブログで書いた。「サラリーマンの朝がすごいことになってる、ということ」と題されたその記事は、ネットで大きな反響を呼び、はてなブックマークでは400件以上のブクマがついた。

   このような「朝の活用」に対する強い関心は、「サラリーマンの自立のあらわれ」だと吉原さんは言う。

「これまでのサラリーマンは会社に依存していましたが、『今後はそういうわけにいかない』と多くの人がかぎつけています。会社から自立し、自分のスタイルに責任を持って仕事をしていくサラリーマンがもっと増えていくのではないでしょうか」