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「冷酷」か「円形脱毛症」か 人事部ってどんなイメージ?

   3月。冬から春へと変わるこの時期は、多くの会社にとって「人事異動」の季節でもある。人事異動の黒子役として動くのが人事部(会社によっては総務部)だが、会社で働く人たちはこの部署について、どんなイメージをもっているのだろうか。ネットユーザーに聞いてみた。

「人事と書いて『ひとごと』と読みたい」

「人事部のイメージ」というテーマで、多数のブロガーが投稿した
「人事部のイメージ」というテーマで、多数のブロガーが投稿した

   人事部や人事課についてどんなイメージをもっていますか?――ライブドアブログの利用者に向けてこんなお題を出したところ、100件以上の投稿があった。いろいろな回答があったが、予想どおりというか、人事部に対してはネガティブなイメージを持っている人が多いようだ。

「冷徹、冷酷、杓子定規、マニュアル史上主義、融通性皆無。俺みたいなユルい奴にとっては天敵そのもの。怒腐れた人事部のせいで、社会出てから どんだけ煮え湯飲まされた事か」(in the dark
「社員から見ると上司よりも威圧感のある嫌な存在かな。人事部の人間も、自分の立場をわかってかだいたい一歩引いて接してくるし、社内だけど親しくはなれない。逆に仲良くなれたら、きっとそういう奴は出世が早いんだろうな」(まーちの「世の真実」を考えるブログ
「私は、人事と書いて『ひとごと』と読みたくなります。会社の利益を優先して個人を踏みにじることも多くあるからです。友達がバンバン地方に飛ばされている現状は許せません。しかも、社内で人事部の社員を見るとツンとすました奴が多いのも気に入りません」(家族も会社も大好きだから毎日はっぴぃ

だれにも知られない「縁の下の力持ち」

   一方で、数の上では劣るが、肯定的なコメントや仕事内容に同情する声も少なくなかった。

「毎月の給料の支払いや、源泉税の納付等、想像を絶するほどの事務を殺人的なスケジュールでこなしてる。給料明細を見るたびに、その給与控除を見て、これ全部代わりに払ってくれるんだよな~!大変だ!って思います。だれにも知られず・・・がんばれ!縁の下の力持ち!」(路上フルーティストの雑記帳
「就活の頃は色々とアドバイスしてもらっただけじゃなく、待ち時間の会話でリラックスさせてくれたり、笑いあったり…こういう方々がいる、この会社で働きたいって気持ちを一層強くさせてくれました、はい。就活生にとっちゃ、人事の人ってのは会社のイメージであり、顔だなぁと思ったなぁ」(歴史の本の最後のページ
「人事部のイメージとは? 一言で言うなら円形脱毛症かな。不景気の今、採用はもちろんリストラも考えなきゃいけないんですよね。リストラされた方は人事部を恨むって聞くし。一番大変だな、って思います」(日々の「とは?」

「人事部は『社内営業』の部門。そんなに偉くない」

   だが、これらはあくまでも人事部の「外」から見た「イメージ」である。「内側」で働く人事部の人たちはどのような思いで仕事をしているのだろうか。ある人事部の経験者はこう記す。

「他人の人事情報や給料を知ったところで別に良いことがあるわけでもない上に、たとえ転属したとしても絶対に口外できないわけですから、むしろ知らないほうが良かったりということの方が多いと思います。また、他部署の友人との付き合いでも、予防線を張ってなければならないし気を使うことも多いのが現実です。 ましてやリストラなんか担当させられた日には..。とにかく、採用以外は人に喜ばれる仕事でもないので、こういう時期、世の人事担当者は、社内を敵に回すつらい仕事ばかりでつらい日々だろうと思います」(Adam 12

   どうやら外から見えるイメージと実際の中身は違っているところも多いようだ。上場企業の人事部に勤務した経験をもつ社会保険労務士の野崎大輔さんは「最初に配属されたときは社員に謝る役回りばかりで、イメージと全然違うなと思いましたね」と苦笑しながら、次のように話していた。

「人事部っていうのは『社内営業』の部門なんですね。社員がお客様で、思ったほど偉くありません。人事評価にしても、実際には現場の上司がつけたのを整理するだけなので、別に社員の人生を握っているわけではないんですけどね。業務の内容は、給与計算みたいなルーティンの仕事ばかりではなく、パワハラなどの社内トラブルの火消し役もしないといけません。そういう意味では、『教科書的な答え』がない仕事も多く、臨機応変な判断力が求められる部署だといえます」