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「海外マラソン大会」参加者に「働く女性」増加の兆し

   健康志向の高まりを受けて、「ランニング」がブームだ。一方で、燃油サーチャージの低下と円高を受けて、「海外旅行」への追い風が強まっている。それでは、この2つを組み合わせた「海外マラソン大会」への参加者は、最近増えているのだろうか。関係者に話を聞いてみた。

若い女性がランニングブーム牽引。「ホノルル」以外にも注目

ミッキーやドナルドの応援を受けてディズニーワールドを走る大会も
ミッキーやドナルドの応援を受けてディズニーワールドを走る大会も

   旅行会社クラブツーリズムの高山健太郎さんは、自身もホノルルマラソンを完走した経験を持つ。高山さんによると、最近のランニングブームには、人口の増加だけでなく「ランナーの層」に変化が起こっているのだという。

「ある調査によれば、ジョギングを含めると全国で350万もの人がランニングを楽しんでいるそうです。増加の理由としては、従来は中高年の男性が中心だったのですが、年齢や性別に広がりが出て、働く若い女性にも及んでいることが考えられています」

   確かに、夜の都心でも、20代・30代の女性が何人かで走っているのを目にするようになった。それでは、海外大会ツアーの参加者も増えているのだろうか。

「実は、まだ急増しているとまでは言えません。しかし条件は揃っているので、今後増えていくと予想しています。すでに、大会ごとの参加者数には変化が見られます」

   これまでは、ホノルルやニューヨーク、ゴールドコーストといった有名大会に参加者が集中していたが、9月の「シドニーマラソン」や、米ディズニーワールド内を走る1月の「ウォルトディズニーワールドマラソン」といった大会への参加者が増えているという。

「ホノルルマラソンの開催は12月の半ばですが、働く女性は、この時期、年末の仕事の処理に追われているはずです。彼女たちは、ホノルルには参加できないけれども、シドニーやディズニーには参加できたということでしょう」

   今年のシドニーの開催日は9月の大型連休(いわゆるシルバーウィーク)に当たった。金メダリストの高橋尚子さんが参加したこともあり、日本からは昨年の5倍に当たる500人以上が参加したそうだ。また、ディズニーの開催日は1月10日の日曜日。年末は忙しく働いて、年始の海外旅行ついでにマラソンを楽しむということかもしれない。

「声援を受けながら海外の街を走るのは楽しい」

アラビア湾の美しい海岸線を走るドバイマラソン。翌日はアラブの雰囲気を味わえる市内観光も
アラビア湾の美しい海岸線を走るドバイマラソン。翌日はアラブの雰囲気を味わえる市内観光も

   参加者のシフトが起こっているとはいえ、現時点でダントツに多いのは、オアフ島で開催されている「ホノルルマラソン」だ。1985年から日本航空がメインスポンサーとなり、12月13日に開催される大会には、日本から1万人以上の参加者が見込まれている。参加者の6割超が日本人というから驚きだ。

   海外のマラソン大会に参加する魅力は、どのあたりにあるのだろうか。

「大きな声援を受けながら海外の街を走ること自体が、新鮮で楽しいですね。また、マラソンの前後にイベントがあって、世界各国のランナーと触れ合える楽しみがあります。それから、中継地点やゴールの通過時間に制限がない大会が多い点もうれしいですね」

   ただし大きな大会以外では、必ずしも当てはまらない場合もあるそうなので、旅行会社を通じて確認しておいたほうがよさそうだ。

   また、最近ではアジアへの海外旅行が増えているというが、12月から1月にかけて開催される大会だけを見ても、マカオ国際、シンガポール、アンコールワット国際、台北、ドバイなど、さまざまなマラソン大会が予定されている。しかし、まだ参加者は多くなく、これからの伸びを期待されているところだ。

   ということで、「海外マラソン大会」は、まだブームに火がついたとは言えなさそうだが、ビル街を黙々と走っている新し物好きの女性ランナーには、次の目標にしてもらえるだろうか。