J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

派遣社員の「キャリアアップ」 専門知識をいかに身につけるか

   派遣社員を対象にしたアンケートによると、派遣の仕事を探すときに優先するのは「職種」という人が7割を超えた。また、職種の変更を伴う「キャリアチェンジ」の経験のある人も半数近くとなった。回答者の中には、業務経験を通じて専門知識を身につけ、コールセンターから大手企業での就業を成功させた人もいた。

「職種にこだわりたい」派遣社員は7割を超える

職種にこだわりたいが「仕事がないから妥協せざるをえない」という回答も
職種にこだわりたいが「仕事がないから妥協せざるをえない」という回答も

   求人求職マッチングサイト「派遣@ばる」を運営するアイルは2009年11月16日、登録会員を対象に「希望のお仕事探しとキャリアチェンジ」に関するアンケート結果を公表した。回答者は「派遣@ばる」の登録会員217名。

   これによると、派遣の仕事を探すときに、「一番希望している職種」にどの程度こだわるか、という質問をしたところ、「絶対にこだわる」と回答した人は22%。「どちらかといえばこだわる」(60%)を含めると、7割以上の人が職種へのこだわりを示した。また、優先する条件は「職種→時給→勤務地」の順とした人がもっとも多かった。

   また、職種の変更を伴う「キャリアチェンジ」をした経験があるか尋ねたところ、「ある」と答えた人は全体の47%。1位は販売職から企画事務への変更など、「営業・販売・サービス系」から「オフィスワーク系」へのキャリアチェンジだった。

   2位は、派遣社員の中で希望者の多い「オフィスワーク系」から、同じ「オフィスワーク系」への変更。「一般事務から英文事務へ」「総務経理から貿易国際事務へ」「英会話学校受付から翻訳へ」など、知識を活かして専門性の高い業務へ移った例が見られた。

「コールセンター」から「大手サービサー」へのキャリアアップも

   このほかアンケートには、実際に「キャリアアップ」を果たすことのできた人たちの声が寄せられた。まずは、小さな会社の一般事務で何もかもやらされて大変だったが、この経験が後に活きたという例だ。

「経理から営業事務、総務に至るあらゆることを任されていたため、仕事量は多かったけど、とてもいい経験になった。職務経歴書には、一般事務の他に、営業事務、経理補助等を加えてアピールすることができた」(豆ぺちゃさん/派遣歴1年半)

   また、いくつかの職場で別々の仕事を経験して能力を培い、今ではそれを組み合わせて活かしている例もあった。

「英文事務をしながら実務経験なしのパソコンに少し慣れ、次の大学研究室ではパソコンを使う業務が格段に増えた。現在は派遣でIT関係の翻訳をしている。時間はかかったけれど、すべて今に生きているとつくづく思う」(派遣歴4年/autumnさん)

   ダイナミックな例としては、「携帯電話会社のコールセンター」で遅延料金の督促業務の成果を認められ、「大手カード会社」の債権回収業務に従事し、そこで身につけた債権回収全般の知識と経験を元に「大手サービサー(債権回収専門会社)」への就業につながった例(派遣歴15年/ようさん)もあった。

   ちょっとした「わらしべ長者」のようなキャリアアップだが、いずれも以前の業務経験が後に活きている点が共通している。目の前の仕事を掘り下げながら専門性を身につけていくと、次の新しい仕事につながることもある、ということだろう。