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梅雨どきになぜか「ヤル気」がなくなってしまうワケ

   6月も中旬を過ぎると、日本のほとんどの地域が梅雨に入ります。梅雨になると、なんとなく体がダルい、ヤル気がなくなるといった経験をされた方も少なくないでしょう。

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日照不足でメラトニンの分泌が減ってしまう

お気に入りの雨具で梅雨のストレス緩和
お気に入りの雨具で梅雨のストレス緩和

   梅雨どきにヤル気がなくなる理由には、メラトニンという物質が深くかかわっています。人は強い光を浴びると13~16時間後にメラトニンが分泌されますが、この物質は身体をリラックスさせ良好な睡眠をもたらす作用を持ちます。

   雨が長く続くと日照不足となり、メラトニンのバランスが変化します。すると睡眠の質が悪くなったり、気分を憂うつなったりするのです。ですからこの時期には、意識して身体をリラックスさせることが必要です。

   メラトニンは光によって分泌が阻害されますので、特に睡眠の数時間前には、部屋を暗めにして過剰な光を浴びないようにするとよいでしょう。

   またメラトニンは、アミノ酸であるトリプトファンから作られますので、赤身魚や肉、牛乳、豆腐など、トリプトファンを多く含む食物を摂取することがよいといわれています。

   トリプトファンは、うつ病に関与するといわれるセロトニンという物質の原料にもなりますので、食生活の面でも意識してみるとよいかもしれません。

   また、雨が降ると、休日も家で過ごすことが増えます。平日も、なるべく濡れないようにタクシーを使うなど、身体を動かすことも少なくなりがちです。

   体を動かすことが減ると、身体がなまり、ダルさを感じます。気分をリフレッシュする機会も減るので、ストレスもたまりがちです。このストレスも、気分を憂うつにする原因の一つです。

梅雨のよさを探すとストレスも軽くなる

   このようなストレスをコントロールするためには、3つの方法が考えられます。

   1つ目は、ストレスを解消しようとする考え方で、たとえば、

「体がなまっているからダルいのだ。何とか体を動かそう!」

という行為です。問題を根本から解決するのは重要ですが、うまくいかないと、より強いストレスになってしまいます。

   2つ目は、ストレスから離れようとする考え方で、たとえば、

「梅雨が嫌いだから、梅雨のない北海道に行こう!」

という行為です。この方法も時にはよいのですが、時間的、金銭的制約があって多用することは難しいですね。

   3つ目は、ストレスに対する考え方を変える、すなわち発想の転換をする方法です。つまり、梅雨は嫌なものではなく、梅雨という季節のよいところを探してみるのです。たとえば、

「この季節にしか咲かないアジサイはいい」
「乾いたアスファルトに降る雨のにおいがいい」

など、よいところを見つけると、梅雨への不満も軽減されます。

   また、お気に入りの雨具などを買ってみると、かえって雨の日が楽しみになるという効果もあります。このような発想の転換は、ストレスをコントロールすることに、とても重要な役割を果たしています。

   寝る前に光を浴びないこと、食べ物に気をつけることに加え、これら3つのストレス対処方法を意識しバランスよく活用することによって、快適な梅雨ライフをお過ごしいただければ幸いです。


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今回の筆者:宇佐見 和哉(うさみ・かずや) 精神科医(医学博士)。桜台江仁会病院精神科勤務。産業精神医学、ワークライフバランスが研究テーマ。臨床活動に加え東京都知事部局において精神科産業医業務を統括するなど、広く労働者のメンタルへルスケアに従事している。東京都内の事業場で産業医としても勤務。