固定席なくす「フリーアドレス」 本当に働きやすいのか
2010/9/ 1 18:01
印刷
「ワークスタイルの変更」がカギ
しかし実際に運用する会社では、試行錯誤しながら答えを出しているようだ。NECネッツエスアイでは、2年前から営業部門と技術部門の一部でフリーアドレスを導入。11年10月には社屋移転に伴い、3000人を対象とした全社導入を図る。
移転には15億円の費用がかかるが、賃貸面積を4割近く削減でき、年間10億円のコスト削減を見込んでいる。
同社コーポレートコミュニケーション室の福島徹氏によると、フリーアドレスの効果を上げるには固定席をなくすだけでなく、情報通信技術(ICT)を活用しワークスタイルの変化に対応できるインフラを整えることがポイントになるという。
「固定席をなくすためには、業務を完全ペーパーレス化する必要があります。そのためには、打ち合わせスペースに自分で作った資料をすぐに投影できるネットワーク環境やプロジェクターなどが必要になるのです」
資料作成やプログラミング、打ち合わせなど、日々の仕事の内容に応じて作業スペースを柔軟に変えていくことで「指定席」は生じなくなる。
一方で、全社導入にあたって総務や経理、人事などの管理部門では、実質的な指定席をあえて残す。「管理部門の人たちがどこにいるのか分からずに探してしまうようでは、かえって生産性が下がりますからね」
要するにフリーアドレスは、働き方を変えずに導入すればやりにくいところも出るが、インフラや働き方を一気に変えると、さまざまな効果が出る可能性があるようだ。