2024年 4月 20日 (土)

休みの日に社員旅行なんて行きたくない

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   いよいよ秋の行楽シーズン。日常から離れ、少し足を伸ばして普段行かない場所を訪れて、美味しいものを食べたりすることは、ストレスの解消にもってこい。ただ、一緒にいくのが職場の同僚だったりすると、気が進まないという人もいるようで・・・。

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お酌が面倒だし代休も振休もない

――製造業の入社2年目の営業社員です。うちの会社は従業員が30人で、社長が家族経営を強く意識しているので社内行事が多いです。
   そのこと自体は悪くないのですが、年に1回の社員旅行はもう少し考えて欲しいと思います。「日頃の労をねぎらい」「社員間の親睦を深める」という趣旨だと社長は言っていますが、私たち若手は気が休まることはありません。
   年配の方に酒を注いだり、宴会の余興をやらされたりと、ひと仕事です。費用は会社が出してくれるのですが、行き先は去年と同じ近場の温泉。海外ならまだしも、安いツアーなら自分でも行けますし、わざわざ疲れにいくようなものです。
   おまけに、社員旅行は土日でやって、代休や振替休日はありません。憂鬱なので先輩に「やっぱり行かなきゃダメですかねえ」と尋ねたら、

「強制じゃないけどさ、そりゃ行っておいた方がいいだろう。年に1回だし、行っておけば社長も機嫌がいいし。行ってみないと体験できないことだってあるしさ」
と諭されてしまいました。
   普段の仕事には不満はないから波風を立てたくないし、パートのおばちゃんや嘱託の高齢者の人たちは楽しみにしているんだろうなと思いつつ、私がいなくたって成り立つと思うと、ドタキャンしちゃおうかという考えも捨て切れません。
   代休も振替休日もないんだから、私の考えていることは正当としか思えません。こういう会社って、おかしいですよね――

臨床心理士・尾崎健一の視点
「行かない」と決めてから考えてみては

   今回の旅行は自由参加のようですので、他人から「会社はああすべきだ」「社員はこうすべきだ」と言うことはできません。助言できるとすれば、旅行を嫌だと思うあまり、普段は良好な関係にある社長や会社、仕事に対する嫌気が差してしまうのは、行き過ぎというものでしょう。いったん「強制じゃないんだから、今年は行くのをやめよう」と決めてから、頭を冷やして考えなおしてみてはどうでしょう。カッカしているときには、的確な判断ができないものです。

   一般論として、上司や同僚と「仕事を離れた場」で話をする機会をつくることは、人間関係を円滑にし、コミュニケーションを増やすきっかけになります(たまに逆の効果を生むこともありますが)。そのことで仕事上の情報伝達がうまくいったり、職場のギスギスした雰囲気を和らげたりする効果もありえます。社長はそういうことを意識して、あるいは無意識に知っていて行事を続けているのではないでしょうか。

社会保険労務士・野崎大輔の視点
自由参加なら労働時間とみなされない

   社員旅行の代休や振替休日がないのは不当と考えているようですが、自由参加の場合には労働時間とみなされない場合が多いです。今回のケースでは費用も会社負担で、福利厚生の意味合いもあるので認められないでしょう。強制参加とは、参加しなかった場合に欠勤扱いとなる場合のことです。

   福利厚生のあり方は会社が決めることなので、「時代遅れ」と非難したり、行きたい人たちの楽しみを奪ったりする必要はありませんが、会社には行き先を工夫するとか、余興は勘弁してもらうとか、楽しめる人が増える改善提案は受け入れてもらいたいところです。女性にお酌を強制したりすると、勤務時間外とはいえ職務上の権限を濫用したセクハラとみなされる場合があります。

   個人的には、普段あまり話をする機会のない人の前にあえて行って、お酒を注いでみることはおすすめしたいです。私自身あまりお酒を飲めないのですが、会社勤めをしているときは、よくこういう場を利用して人間関係を広げていったものです。参加を前向きに考えてみてはいかがでしょうか。


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(本コラムについて)
臨床心理士の尾崎健一と、社会保険労務士の野崎大輔が、企業の人事部門の方々からよく受ける相談内容について、専門的見地を踏まえて回答を検討します。なお、毎回の相談事例は、特定の相談そのままの内容ではありませんので、ご了承ください。

尾崎 健一(おざき・けんいち)
臨床心理士、シニア産業カウンセラー。コンピュータ会社勤務後、早稲田大学大学院で臨床心理学を学ぶ。クリニックの心理相談室、外資系企業の人事部、EAP(従業員支援プログラム)会社勤務を経て2007年に独立。株式会社ライフワーク・ストレスアカデミーを設立し、メンタルヘルスの仕組みづくりや人事労務問題のコンサルティングを行っている。単著に『職場でうつの人と上手に接するヒント』(TAC出版)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。

野崎 大輔(のざき・だいすけ)

特定社会保険労務士、Hunt&Company社会保険労務士事務所代表。フリーター、上場企業の人事部勤務などを経て、2008年8月独立。企業の人事部を対象に「自分の頭で考え、モチベーションを高め、行動する」自律型人材の育成を支援し、社員が自発的に行動する組織作りに注力している。一方で労使トラブルの解決も行っている。単著に『できコツ 凡人ができるヤツと思い込まれる50の行動戦略』(講談社)、共著に『黒い社労士と白い心理士が教える 問題社員50の対処術』がある。
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